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エピソード16 『名もなき町で』

  • 執筆者の写真: ・
  • 2023年3月16日
  • 読了時間: 1分

エピソード16

伊座利は小さな田舎町だった。海沿いの小さな小さな漁師町だ。

店も見当たらなければ、人影もない。

キミが想像しているより、もっと田舎だよ。100人しか居ないんだもん。

とりあえず、お腹を満たしたかった。

伊座利カフェなる店が集落の真ん中あたりにあるはずなのを思い出して、

僕は歩くことにした。


3分も歩くと、第一村人発見!

第一村人は、タコ八みたいな小柄なおじさんと、

それより少し背の高い奥さん。そして奥さんの連れた犬だった。

「す、すみません!」

僕は即座に声をかけた。

「何なん、オマエ!?」

タコ八は、ギョっとしていた。

そりゃそうだ。フツウ伊座利の早朝に、見知らぬ青年なんて現れやしないんだから(笑)

「このあたりに、伊座利カフェってありますよね?この方角であってます?」

「伊座利カフェか?

 この先にあるにはあるが、まだ開いとらんぞ?何せまだ8時やからな。」

「うわぁ、またクローズかぁ!

 僕、お腹ペコペコなんですよ。どこかに何か食べれる店、ありませんか?」

タコ八は、3秒ほど考えこんで、そして言った。

「ついてこい。ウチで食わしたるわ。」

「えー!いいんですか!?ありがとうございます!!」

ほんとうに、ありがとうございます!!

「その代わり、不審者だったら叩き出すかんなぁ!」

…善い人なんだか意地悪なんだか、よくわからないおっさんだった…


『名もなき町で』

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