エピソード17 『アオミ姫』
- ・
- 2023年4月1日
- 読了時間: 4分
エピソード17
20分もあるくと、一行は、町に到着しました。
あちらこちらに、ラベンダーの花がそよいでいます。
心地よい風が、ラベンダーの香りを、町中にふりまいていました。
「んー!いい香り♪」
トコッシーは、大きく深呼吸をしました。
「あぁ、もう元気になっちゃった♪」
「そんなわけないじゃないのよ!」
アオミ姫は、イライラしながら言いました。
「姫様、ホントに元気になるよ♪
深呼吸、してごらん?」
フラミースは、夢見心地な顔で、言いました。
アオミ姫は、言われた通りに、深呼吸してみました。
あらビックリ!
本当に、心も体も元気になってしまうのでした。
ラベンダーには、そういうフシギな魔力が、あるのです。
「ここは、ライラックの町ね。」
フラミースが、つぶやきました。
「フラミーちゃんあなた、
こんなところまで、来たことがあるの!?」
「来たことは、無いわ。
本で読んだことがあるから。
ラベンダーに囲まれた、美しい町のこと…。」
一行は、町の中まで進んでいきました。
「BAR(バル)」と書かれた赤レンガの建物に、入っていきました。
レストランとホテルを、兼(か)ねたような場所なのです。
「すみませーん。
お食事と寝床(ねどこ)は、助けてもらえませんかー?」
トコッシーは、物怖(ものお)じすることなく、声を張り上げました。
カウンターの下から、
店の主人が顔を出しました。
「おや?見なれない方々ですね。
よその町からいらしたのですか?」
とてもていねいで、お上品な話し方でした。
「えぇ、よその町から旅してきたんです。」
トコッシーは、さわやかな笑顔で答えました。
「それはそれは、ご苦労様です。
食べ物やベッドを提供(ていきょう)して差し上げたいのですが、
なにぶん、この町には、規則(きそく)があるのです。
よその町の方々の場合、
少し、審査(しんさ)をしなくてはならないのです。
それは、この町の上品な治安(ちあん)を、守り続けるためなのです。」
「ちょっとー!
私たち、何時間も歩いて来たのよ!?
審査とかなんとか、エラそうなこと言ってないで、
まずは、お茶の一杯でも出したらどうなの!?
私、姫よ?姫!」
「大変申しわけございません…
あなた様には、食事や寝床を提供することは、出来ないようです。
審査というのは、『礼儀作法(れいぎさほう)』なのです。
礼儀知らずな方は、おもてなしすることが、出来ません…」
「あはははは!
こりゃ、参(まい)ったねー!
姫さん?アンタ、
城で毎日、礼儀作法のお勉強、したんじゃなかったんだっけ?」
「…礼儀作法の家庭教師はいたけど…
ほとんどサボってばかりいたのよ…!」
「もったいないなぁ。
礼儀作法を教えてくれる先生なんて、そうはいないよ?
その貴重(きちょう)な授業を、ないがしろにしてしまったのかい?
もったいないなぁ…もったいない。」
「えー!!
私、礼儀作法の勉強させられるなんて、不幸なんだと思ってたわ…!!」
ちょっと、フラミース!
あなた、礼儀作法なんて習ってないでしょ?
メイドなんだから、家庭教師なんて雇(やと)えないもの。
あなたも、野宿よね?」
「いえ、
こちらの女性は、礼儀作法のオーラを、持ちあわせておりますよ。
おもてなしさせていただくことは、じゅうぶんに、可能です。」
「は!?どうしてそうなるの!?」
「姫様、私、
礼儀作法の家庭教師は居ないけど、自分で本で勉強したのよ?
昨日話したでしょ?『読み書きできると、楽しいことがいっぱいある』って。」
「あはははは!
お金が無くたって、知恵がある人は、
問題を解決出来ちゃうんだよ♪」
「ノンキに笑ってるけど、
トコッシーなんて旅人なんだから、本なんか読まないでしょ!?」
「僕は、旅する中で、
見よう見まねで、礼儀作法を学んできたよ?
本っていうのは、旅することの代用品に過ぎないから、
旅ばっかりしてるなら、本すら必要ないよ♪」
「おそれいりますが、テントをお貸ししますので、
お姫様だけは、裏庭でご宿泊いただけますか?
お食事は、特別に、おもてなしさせていただきますので…。」
「アオミだけ!?この犬だって、礼儀知らずでしょ!?」
「…いえ?
こちらのワンちゃんは、
じゅうたんを汚さないように、土間のところにチョコンと座って、
礼儀正しく待機(たいき)されているようですが…。」
「ホトミの裏切り者ー!!」
「あははは!
他人にモンク言っても、しょうがないさ!
姫さんがサボってきたから、こうなっちゃったんだよ?
誰も、姫さんにイジワルしてないさ。
姫さんが、自分で選んだことの、結果だよ?」
「うぅぅ…全部、アオミが選んだことなのね…」
『アオミ姫』



