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エピソード18 『沖縄クロスロード』

  • 執筆者の写真: ・
  • 2023年3月14日
  • 読了時間: 3分

エピソード18

泊まれることが決まると、まずはヒヨリをベッドへ。まだぐっすり眠っています。


ユカとマリも疲れていたけれど、まずはご飯を食べたかった。

…と言っても!

ドミトリーベッドを持つということは、結び宿は、ゲストハウスなのです。

民宿とは違うから、夕飯が付いてたりはしない…

ゲストハウスの客たちは、近くの飲食店で外食するか、

食材を買ってきて、キッチンで自炊をするのです。

…当然、隠れ家な結び宿には、近所にガストなんて無い。自炊がメインになります。


今からまたバス通りまで戻っていって、食材買ってきて、自炊…?

気の遠くなるような話だよ…。


とりあえず、設備を確認すべくキッチンにお邪魔してみると、

誰のものやもわからない野菜やら乾麺やらが、散在しています。

ユカたちはイチかバチか、他の旅行者さんに頼み込んでみることに。

幸い、ほとんどの宿泊客は、リビング脇のウッドデッキで大テーブルを囲んでいます。

一声かければ、みんなに届く。

「あのう。すみません。私たちアクシデント続きなもんで、食材がまったく無いんです。 

 買いに行く気力も残ってなくて。

 だから、そのう、キッチンに残ってる食材、どなたか少し、分けてくれませんか?」


そしてユカたちは、またも驚かされる!


「食材?食材なんかじゃなくて、コレ、食べなよ!」

みんな口々に、自分の目の前の料理皿を指差して言います。

「お口に合うかわからないけど、私の料理を食べて♪」と。

ユカはその言葉を聞いて、思わず泣き出してしまいました。

友人でも、知人ですらないユカたちに対して、

こんなにも優しくしてくれるなんて…!!



結び宿には、風変わりなルールがあるそうです。

「ゆんたく(夕食食べながらのおしゃべり)に加わる人は、

 手料理を1品、みんなにシェアすること。」

こうしたルールがあるから、

他のゲストハウス以上に、見知らぬ旅行者同士が仲良くなりやすいんだそうな。

旅行者同士の「結び」が、強くなるのです。

そして、このときのユカたちみたいにシェアできないことがあったりしても、

誰も別に、文句を言ってきたりはしません。

マニュアルどおりにしなかったとしても、怒ったりはしないのです。チーフとは違う。



ユカたちは、ご飯をごちそうになりながら、ゆんたくの語らいに加わりました。

色んな人がいました。沖縄を自転車だけで周ってる男の子。傷心旅行の女の子。

ユカたちみたいに初ゲストハウス体験の女の子。結び宿に長期滞在してる男の子。

それぞれに面白いドラマがあって、それぞれに面白い個性がありました。


ユカの人生経験からすると、個性的な人には、身勝手な人が多いです。

だからちょっとニガテだったりする。

そんな思いを話したら、こんな答えが返ってきました。

「ドミ宿に泊まれるような人は、身勝手な人少ないよ。

 他人に配慮できなきゃドミには泊まれないし、ガマン強くなきゃドミには泊まれない。

 すると、身勝手な人間は、ドミ宿にはいないんだ。」


ユカは、その話を聞いて、急に青ざめました。

「他人に配慮できなきゃドミには泊まれないし、ガマン強くなきゃドミには泊まれない。」

ということは、

ドミを敬遠したがっていたユカは、身勝手未熟だったってことだ!

ユカには、他人を批判する筋合いなんて無かったんだ…


個性的に生きていて、それでいて周りと調和できる気配りがあるなら、

そんな人ってカッコイイ。



…それにしても、

昨夜の夕食時とは、天国と地獄くらい違いすぎた!

4ツ星ホテルに泊まった昨日は、お金ばっかりかかって誰も助けてくれず、

会話も出会いもなく、寂しくつまらない夜だった。

ゲストハウスに泊まった今日は、お金をほとんど使わなくてもみんなが優しくて、

会話と笑顔にあふれ、楽しく充実してる。

ゲストハウスを泊まり歩く人たちは、毎晩こんな体験をしているのか!!


『沖縄クロスロード』

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