エピソード2 『ドヴォルザークの再来』
- ・
- 2023年4月6日
- 読了時間: 3分
エピソード2
…すると、ナカジマさんは、
赴任して1週間で、
もう、生徒たちの人気者になってしまう!!
生徒の誰一人として、
音楽の授業をサボりたいとか、思わなくなってしまう。
…音楽の授業サボるヒト、多かったでしょ?
そして、
ナカジマさんは、授業もまた、面白い!!
発声練習には、独自のフレーズばかり、用いるんだ。
「ばーいばーいばーい!」とか、
「まぁりぃやぁ(マリア)」とか、
そんなんばっかりさ(笑)
…フツウは、
「あーあーあー!」とか
「ルールールー!」ばっかりだろう?
ナカジマさんが、
この、独自の発声練習ボイスを披露した際も、
クラス中が、爆笑した!!
「センセー、何それー!?」
「バッカじゃないのー??」
そんなふうに言われたって、彼は、動じない!!
「はっはっは!そうなんだよ♪
先生は、バカみたいなボイスで、発声練習がしたいんだ♪」
と、笑って言うモンだから、
みんなは、「コレは、笑いのネタってワケではナイのだ!」と解って、
ちゃーんと、先生と同じように、発声練習に取り組むように、なる。
僕は、音楽の道を、イロイロと探求してきた人間なのだけれど、
後になって、様々な知識や見解を得てみると、
ナカジマさんの、「マリア」や「ばい」の発音は、
とてもとても、理に適っているんだよ!!
決して、『バカなボイス』なんてモンじゃなくて、
むしろ、そこらの音楽教師も知らない、『高度な知識』だったんだ!!
でも、ナカジマさんは、
「いや!これは『バカみたい』なんかではなく、
発声力学に基づいた、崇高な発声トレーニングなのだ!」
なんて、シリアスな顔して説き伏せたりは、しなかったのさ!!
彼は、
「自分がバカだと誤解されること」なんて、全く、恐れちゃいないのさ!
バカだと思われてもイイし、笑われてもイイから、
生徒たちに、より効果的な発声トレーニングを、やらせたいんだよ♪
ものすごい、自己犠牲だろう!?
歌のカリキュラムに関しては、
きちんと、教科書の内容に準じて、行っていたよ。
けれども、
やっぱりソコにも、彼なりのポリシーが、あった!!
ナカジマさんは、歌を歌う際に、
細かいコトは、一切、注意したりしないんだ。
まるで、幼稚園生のお遊戯遊びみたいに、
ただただ、元気良く歌うことだけを、繰り返すんだよ!
でも、
ナカジマさん自身は、
腹から良く響く、美しいテノールの声で、
ピッチ(音程)を正確に保ちながら、
適度な抑揚を付けて、お手本のように、歌うんだ。
…すると、
コトバでイチイチ、細かい指摘をされたりしなくても、
だんだんみんな、ナカジマさんのように歌うように、なっていくんだ!!
ナカジマさんのように上手く歌えるヒトが、増えれば増えるほど、
その歌声に釣られて、他のヒトたちも上手くなっていく…
…まぁ、カンタンに言うと、
「背中で語るタイプ」のヒトなんだよ♪
で、更に、
ナカジマさんは、誰かを一人で歌わせるようなことも、しない。
…なんと、歌のテストの時ですら、しないんだ!!
彼は、
生徒たちがキンチョウやストレスを感じるようなことは、
一切、やらないんだよ!!
どんなにヘタっぴでも、一人で歌わせられたりすることがナイから、
みんな、安心して、リラックスして、「歌うことを楽しめる」のさ♪
ナカジマさんは、
音楽の授業では、とにかく、
「音楽を楽しむこと」を大事にした授業をするんだ♪
「音楽を楽しむこと」を、こんなにも徹底出来る音楽教師や指揮者を、
僕は、これまでに、お目に掛かったことがナイよ!!
『ドヴォルザークの再来』



