エピソード2 『沖縄クロスロード』
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- 2023年3月14日
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エピソード2
「卒業旅行に沖縄!」なんて決めてはみたものの、
かといって、明日スグに旅立てるわけじゃない…
なにせまだ、季節は秋。ユカたちは学校に行かなきゃなのだ。
駅前の旅行会社で、沖縄の旅行パンフを100種類くらいかっぱらってきて。
あの薄っぺらいやつね。
まずはそれで、沖縄旅行の研究から。
日本史の教科書なんて、読んでる場合じゃない!
ホテルはどれにしようか…体験ダイビングのオプションは付けようか…
ユカたちは授業中でさえ、教科書の影にパンフレットを隠しながら、
沖縄のことばっかり考えてた。
「ほう。『琉球パワースポット巡り』とな?
うーむ。先生の教科書の178ページ目は、沖縄の日本返還について書かれているが、
笹川の教科書は、なんかちょっと内容が違うなぁ?」
バシ!日本史の三上先生は、教科書でヒヨリの頭を軽く叩くと、
ヒヨリのパンフレットを没収していってしまった…
「もぉー!ドジヒヨリ!!」
ユカとマリは、心の中でそう叫びながら、ヒヨリにケシゴムのカスを投げつけまくった。
…そう。ヒヨリは、典型的なドジっ子なのです…。天然ボケ?
ユカ、天然ボケのコってあんまり好きじゃないんだけど、
ヒヨリとは幼なじみなもんだから、いまさらしょうがないんだ。
天然ボケの女のコっていうのは、好き嫌いがハッキリ分かれる。
ヒヨリは別に、ブリっこしてるわけじゃないんだけど、
女子の中にはヒヨリをウザがるコも多い。
けれど、男子たちはたいてい、ヒヨリに鼻の下伸ばしてる。
ゆうこりんみたいな顔して、アニメ声優みたいな声して、
それで誰の悪口も言わずにチューリップみたいにほわほわ佇んでるんだから、
そりゃぁ、男子からはモテる。
佇んでるだけでモテるヒヨリは、うらやましくて憎らしくもなるけど、
このコのこのモテ性質は、巧く活用しちゃったほうが良い。最近気付いた。
『沖縄クロスロード』