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エピソード20 『お遍路さんの集まる喫茶店』

  • 執筆者の写真: ・
  • 2023年3月31日
  • 読了時間: 2分

エピソード20

「そういえば、あなた、

 音楽やってるって言ったわよね?

 歌は?歌うの?」


「うん。歌いますよ♪

 ギター系の、シンガーソングライターだから。」


「シンガーソングライターって!?

 自分で作詞作曲するって意味じゃないの!?」


「うん。そうですよ♪

 録音も、打ち込みも、編集もやるし、

 ジャケット作ったり、ホームページ作ったり、

 なーんでも自分でやっちゃう♪」


「…あなた、

 千手観音の生まれ変わりなの!?

 それって、

 オリコンで1位取る歌手より、スゴい気がするんだけど…!?


「いやぁ、

 ビンボーだから、自分でやるしかないんスよ(笑)

 …まぁ、

  『自分でやりたくなっちゃう』ってのも、あるかなぁ。」



「…あぁ!いけない。

 話が逸れるところやったわ!

 あのね?

 明日、この店で、

 今夜あなたがお世話になるチユキちゃんの彼氏が、ライブをするのよ!

 絶妙なタイミングだわ!!

 だから、

 あなたも良かったら、歌いに来ない?」


「おぉー!

 飛び入りライブ、いいっスねぇ♪

 でも、ギターが無いよ?」


「ギターはタケちゃんが貸してくれるわよ。

 …タケちゃんって、

 その、チユキちゃんの彼氏のことね。」


「じゃぁ、問題無いや♪」



「それとあなた、

 野宿に強いってことは、海外放浪の経験があるんじゃないの?」


「ピンポーン♪

 東南アジアとか、中東とかを中心に、

 10カ国くらい、見てきましたよ♪」


「あら!

 中東って、イエメンは!?」


「イエメン!!

 渋いっスねぇ♪

 イエメンも狙ってるんだけど、まだ、行けて無いんですよー!

 腰に短剣差した人たちが、町を闊歩してるっていう…」


「そうなのよ!

 イエメン、ヘンなところなのよ!

 主人が旅行好きなもんだから、

 私まで、あんな辺鄙なところに連れてかれちゃって!!」


「誰が辺鄙だってぇ!?」

主人の登場だ!

ようやく、キッチンが落ち着いたようだ。



それからは、

主人も交えて、3人で会話を続けました。

主人とムカイくんは、共通点も多いので、

すぐに、意気投合してしまいました。


主人が、息子世代の若者に、敬意を持って話すのは、

一体、生まれて初めてのことでは無いでしょうか!?



9時頃に、

私は、ムカイくんを浜辺まで送っていきました。

たまたま、大阪から遊びに来ていた、

チユキちゃんの娘さんたちを見つけたので、彼を託しました。


…!?

意味がわからなかったですよね?


チユキちゃんは、バツイチなのです。

大阪の、元旦那さんの元に、娘さん2人を残し、

徳島で、

息子くん2人にタケちゃんを加えて、新しい生活を送っているのです。



娘さんたちは、なんと、

今日、徳島にやってきたばかりなのです!

なぜ、こうも、

ムカイくんの「とんでも放浪」に合わせて、

様々なことが重なってしまったんでしょうか!?


一体、私は、

ドラマか小説の中にでも、迷い込んでしまった気分でした。


『お遍路さんの集まる喫茶店』

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