エピソード20 『真理の森へ』
- ・
- 2023年3月19日
- 読了時間: 4分
エピソード20
翌日日曜日は、お家でのんびりです。
私は、月曜までにやらなければならないレポートがあったけど、
それは朝のうちに終わらせました。
「今日は何をする?」カティも暇そうだったので、
私は、カティにフィンランド料理を教えてもらうことにしました。
「翔子は、お肉とお魚、どっちが好きなの?」
「お魚のほうが好き。」
「なら、サーモンスープなんてどうかしら♪」
ということで、料理はサーモンスープに決定。
私は、日曜でも開いている大型スーパーまで自転車を飛ばして、
サーモンの切り身を1kg買ってきました。これくらいたっぷり使うのが良いんだって。
カティは、可愛らしいのです。
お尻をフリフリしながら、ジャガイモの皮をむきます。
「何それー!?」と指差し笑うと、
「え?ジャガイモの皮むくと、お尻が揺れない!?」
と、わけのわからないことを言います!
普段デスワークに勤しんでいるインテリ女性が、
こんなふうにチャメっ気ある姿を見せると、
男性ならずとも、トリコになってしまうことでしょう。
私は、「理想の女が何たるか」も、カティから学んでいるらしいです。
味付けにはバターをたっぷり入れて、
盛り付けの仕上げにディル(ハーブ)を散らせて…
サーモンのスープは完成です。
私たちはそれをすばやくテーブルに運び、
そしてホッケーの試合の録画を観ているアンティを呼んできます。
「お!今日はサーモンのスープだね♪」
アンティもこれが大好物であるようでした。
フィンランドの伝統的なサーモンスープは、
「トロみの少ないホワイトシチュー」といった様相です。
バターの風味が効いてて美味しいんですが、
私としては、日本流のホワイトシチューのほうが、好きかな。
シチューにサーモンを入れることはあんまり無かったので、
家に帰ったら、たっぷりのサーモンとバターを入れて、
カティ風サーモンシチューを作ってみようと思いました。
付け合せには、パンをかじります。
しかしコレが、どうにも黒いのです。
そういえばフィンランドでは、パンはたいてい、黒い…
聞くところによると、
北欧や東欧では、こういった黒いパンが主流なんだそうな。
ではなぜ黒いのか?
それは、原料がライ麦だから。しかも、全粒粉も混ぜるから。
全粒粉入りのパンは、(含有率にもよるけれど)堅くて食べにくいです。
それでもなぜ全粒粉パンを選ぶのか?
それは、栄養価が高いからです。
日本でも、白米よりも玄米を好む人たちがいるけれど、
それと同じようなことです。
ただし、
日本の場合、玄米愛好家は1割かそれにも満たない少数派だけど、
北欧や東欧では、ほとんどみんな、全粒粉入りのパンを作り、選ぶのです。
健康管理に対する食の配慮が、日本は遅れているっぽいです…
私は、シナモンロールと同じくらい、ライ麦パンがお気に入りになりました。
お腹いっぱい食べ終わると、
「さぁ、片付けは俺がやるよ♪」と、
アンティが私の食器まで、そそくさと運んでいってくれました。
フィンランドでは、女性の社会進出が進んでいるぶん、
男性は進んで家事を手伝うのだそうです。
食事といえば、
もう1つ、印象深かったことがあります。
日本では、夕食が一日のうちの一番のメインですが、
フィンランドでは、昼食がメインなのです。昼食が一番ガッツリです。
夕食は、スープにサラダというような軽い組み合わせだったりします。
「…え?主食は??」
と、思わず尋ねてしまいました。
やはり、ちゃんと理由があるのです。
「夕食後はもう、寝るだけでしょう?
それなのにいっぱい食べちゃったら、消化しきれなくて太っちゃうのよ。
ランチ後はまだまだ、働いたり遊んだりするでしょう?カロリーをたくさん消費するわ。
だからランチを盛りだくさんにするほうが、理に適ってるわよね。」
なるほど。
私もカティたちの食生活にならって暮らしてみたけれど、
やっぱりどうしても、夜中にお腹がすいてしまう…
私は特に、夜更かし気味なので、
19時に軽い夕食を摂ってそれっきりというのは、キツいものがありました。
それをカティに打ち明けると、
カティはまた、まこと理に適った返答をしてくれました。
「うふふ。夜の時間が長いなら、無理せず夕食もたくさん食べればいいのよ!
私たちは10時には寝ちゃうから問題ないけど、
翔子や日本人は、もっと夜更かしだものね。
夕食にめいっぱい食べて、それでちょうど良いんじゃない?」
それからは、私のことを気遣い、
夕食にもう1品、ふかしたじゃがいもなどを添えてくれることが増えました。
フィンランドでは、じゃがいもがよく食されているようです。
『真理の森へ』



