エピソード21 『トトロの森のけもの道』
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- 2023年3月23日
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エピソード21
僕らは再び、
山の入り口に、居直った。
昨夜、ブラックホールに見えた山道は、
今朝は、フツウのハイキング・コースに見えた。
僕らは、ゆっくりと、歩を進めた。
幼い頃からの憧れだった『トトロの森』は、
およそ標準的な、「小高い丘」だった。
僕は、幼い頃、
「小塚山」という小さなハイキング・コースのそばに住んでたし、
同じような、小高い丘、森、林、崖が、幾つも町内にあった。
それぞれ、
都会っ子たちが初めて分け入れば、それなりに、面白い場所だよ♪
けれど、僕はと言えば、
そうした「それなりに面白い緑地」の黒帯9段だったから、
『トトロの森』には、大した感銘は受けなかったよ。
ハルオもまた、
大体オンナジような環境で育ってきたから、
何のハデなリアクションも、見せなかった。
モンクも言わなければ、褒めもしなかった。
50メートルも山道を登ると、平地になった。
「林」という雰囲気だった。
少しは、探検し甲斐のある場所になってきた。
道は細く、行き交う人々が踏み固めることで、維持されていた。
そういうのは、「けもの道」って言うんだな。
小さな鳥居があって、
小さな境内があった。
「トトロっぽい風景」と、言えなくもナイだろうね♪
境内の、観音開きの扉を、
チョイと覗いてみた。
…よく覚えてナイけど、
「昔の僕」だったら、そんなことを、やってみるだろうさ。
扉の奥は、真っ暗で何も見えなかった。
…よく覚えてナイけど、
何も覚えてナイってことは、
つまり、真っ暗だったか、カラッポだったんだよ。
鳥居と境内に飽きると、
もう少し、先に進んだ。
今度は、古い井戸があった。
コレもまた、
「トトロっぽい風景」と、言えなくもナイね♪
…でも、
井戸のフタは、硬く閉じられていた。
次に、
僕の感性は、
「何もナイところ」に、注視していた。
林道のあちこちには、
気付くか気付かないか絶妙なラインの「けもの道」が、
幾つか、あった。
「3ヶ月くらい前には、
ヒトか犬か、それとも中トトロか…誰かしら、通ったかなぁ」
というカンジだった。
んで、
けもの道の行き止まりには、
小さな穴倉(あなぐら)みたいのが、あったりするんだ。
タヌキとかキツネとかそういう小動物が、
冬眠でもしてそうなサイズさ。
…つまり、「中トトロくらいのサイズ」ってことだよ。
中トトロが入れれば、小トトロも、入れるだろうなぁ。
でも、
その穴倉(あなぐら)は、
入り口のところで、塞がれてるんだ…。
…さっきもチョっと話したけど…
この時僕は、ハタチの誕生日を迎えたばっかりだったんだけどさ?
その、「塞がれた穴倉(あなぐら)」を見て、思ったよ。
「あぁ、あと数日早く…十代のうちに来てれば、
トトロの穴倉(あなぐら)への道が、通じていたかもしれない…!!」
ってさ?
何しろ、
トトロに会えるのは、子どもだけなんだよ。
子どもと大人の境目は、「ハタチになったかどうか」だろう?
当時の僕は(今の僕もだけど)、
「子どものココロ」なら、残してるんだよ。
でも、それじゃぁダメなのさ。
肉体年齢もココロも、
両方とも、子どもでなくちゃ、ダメなんだ。
…だってさぁ、
メイのパパだって、
「子どものココロ」を残した、ステキなヒトだったろう?
あれだけ偉大な、「子どものココロを持った大人」でも、
トトロに会うことも見ることも、適わなかったんだ。
わかるかなぁ?
…重要なコト、書くからね?
…あれ?
キミまだ、
黄色い蛍光ペン、持ってきてナイじゃん!
…準備OK?
『トトロの森のけもの道』



