エピソード23 『ヒミツの図書館お姉さん♪』
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- 2023年3月7日
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エピソード23
高卒後の春休み、
レノンさんが、「腰を落ち着けて話したい」と言ってきて。
スタッフ・ルームで、ひざを突き合わせて話をした。
高桑さんも、横で聞いていた。
「…さて、キョコちゃん。
司書の業界は、どうじゃ?
これからも続けていきたいと、感じるかな?」
私は、即答した。
「もちろん!
親に実家を追い出されるまでは、
無給でも、続けたいって思ってます♪」
「ほほー!
それはそれは、『天職』に出会ったんじゃなぁ♪
どうじゃ?
あと2年。あと2年、無給で続けられるんであれば、
ちゃんとお給料の出る形で、
キョコちゃんを働かせてやることが、出来そうなんじゃよ♪
『2年後の春に、退職したい』
と言ってる者が、おるらしくてなぁ。」
「ホントですかー!?」
無給でも良かったけど、
お給料が頂けるなら、もっと良かった(笑)
月に10万くらいでも頂けるなら、
携帯を買って、通信費も自分で払えるし、
青春時代を色々エンジョイすることも、出来ると思った。
私の両親は、
大卒の年齢まで…つまり、あと4年間…は、
衣食住の面倒を見てくれると、言ってくれていた。
その後は、一人暮らしを経験させたいらしかった。
私の考えも、親と一致していた。
レノンさんは、続けた。
「…それでな?
キョコちゃん、高校が終わって、平日も時間が空くじゃろう?
どうする?」
「えー?
私、週5日か6日くらいは、図書館に来るつもりだったけど…」
「うーん。
それはなぁ、ワシは、オススメ出来んなぁ…」
レノンさんは、眉をひそめている。ジョークでは無いらしい…。
「それをやってしまうと、
キョコちゃんは、社会を知らないまま、年を取ることになってしまう。
…もちろん、
図書館だって『社会』の一部なんじゃが、
なにせ、カネの介入しない場所じゃろう?
資本主義の競争社会を、全く知らずに年を重ねると、
それはそれで、不便があるし、無知になってしまう…
実際、ガス水道なんぞの公共機関の連中や、公務員やらは、
そういう、いわゆる『世間知らず』が、多いんじゃなぁ。
じゃから、
お役所も、学校も、公共機関も、
体質が旧いままで進化せんし、ずさんで怠惰な仕事が、多いんじゃよ。
年金漏れの問題なんぞ、ニュースで見るじゃろ?」
「…私、仕事を怠け過ぎていますか…?」
ちょっとショックだった。がんばっているつもりだったから…。
「いやいや!
キョコちゃんは、怠惰とは無縁じゃよ(笑)
今話したのは、あくまで、『一般論』というヤツじゃな。
…いずれにせよ、
図書館以外の労働も経験し、
図書館以外の社会も見てきたほうが良いのではないかと、
ワシは、思う。
…もちろん、正社員になる必要はないし、
午前様になるほど働く必要も、ない。
アルバイトか、派遣社員か、
あまり重責のない立場で、月に10万ばかし稼ぐ程度で、良いと思う。
どうじゃな?
これは、あくまで、ワシの価値観じゃし、
キョコちゃんに強制する筋合いのものでも、ないんじゃよ?
キョコちゃんが望むなら、
週に5日でも6日でも、図書館に通えばよいぞ♪」
「うーん。
ちょっと、考える時間をもらっても、いいですか?」
「もちろんじゃとも♪」
『ヒミツの図書館お姉さん♪』



