エピソード26 『ミシェル2 -世界の果て-』
- ・
- 2023年3月24日
- 読了時間: 3分
エピソード26
2日の後、私はモロッコのカサブランカ空港に飛んだ。
カサブランカの空港からは、市街地までバスがあったわ。
タクシーに乗らなくて済んでホっとしちゃった。
私、この旅でタクシーに良い思い出って全然ないんだもの。
タクシーの運転手ってみんな、旅行者をだますことしか考えてないの?
良いタクシーだって居てくれることを願うばかりだわ。
カサブランカの情報は、カイロの安宿の情報ノートには無かったの。
最初の宿にも戻って情報ノートを読み漁ったけど、無いのよ。
仕方ないから行き当たりばったり。
まぁ、ホテルが無いはずないし。
カサブランカの空港のカウンターで、
「どこか安いホテルを教えてください。」って尋ねたら、
やっぱり40ドルのホテルしか教えてくれないの。
空港のパリっとした制服を着た人たちは、
ユースホステルや安宿のことを知らないのよ。
彼らは高級ホテルの情報しか持ってないし、その予約しか取り持ってくれないの。
そしたらやっぱり、頼れるのは大きいリュック背負った旅人だけよ。
私は、到着ロビーから出てくる大きなリュックの旅人カップルに、声をかけてみた。
「ユースホステルか安宿の情報を持っていますか?
これから行くつもりなら私も同行させてください。」ってね。
上手くいったわ。彼らはちゃんと下調べしてから来てるから、
カサブランカの安宿のこと、知ってるの。
でもね、カサブランカにはユースホステルもあるけど、
彼らはそこには泊まらないんだって。
どうしてって聞いたら、「ユースホステルは高いから」って言うのよ!
私、ビックリ!世界で一番安いのがユースホステルかと思ってたのに。
ユースホステルと同じような安宿で、もうちょっと安いのがあるんだって。
カサブランカにもあるし、大抵どこの街にもあるっていうのよ。
「ゲストハウス」っていうの。そういうの。
あんまり安いと、またカイロのあの幽霊屋敷みたいなことになるかと不安だけど、
彼らはカップルでしょ。女性と泊まるつもりっていうなら、きっとそんなに貧相じゃないのよ。
そう期待してついていってみたんだけど、私の予想は当たり。
別に上等な宿じゃないけど、でもあの幽霊屋敷ほどひどくないの。
それが個室で10ドルで泊まれるっていうんだから、私には御の字よ。
モロッコの伝統家屋を改築した宿だったわ。風情があってイイじゃない。
中庭があってね。そこに行けばあのカップルにすぐ会えたから、助かったわ。
私はここでもポストカードを見せながら地道に情報収集して、
シャウエンへの行き方を突き止めた。一晩あればバスで行けるわ。
夜行バスでカサブランカを発ち、その翌朝。
やっぱり夜行バスは、まだ夜が明けきらないくらいの早い時間に目的地に到着した。
起きがけに私が見た光景は、のどかな山間いの朝もやでね。
朝日特有のオレンジ色で染められた山肌が、とても印象的だったわ。
とても田舎なの。空港もカサブランカも人があふれかえってゴミゴミしてたけど、
シャウエンは田舎なのよ。空気のキレイなところなの。
でも標高が高いのかしら?私はふいに肌寒さを覚えて、あわてて1枚上に羽織ったわ。
…田舎?山?
どういうこと!?違うわ!シャウエンって「水色の町」のはずよ!
私は間違った場所に連れてこられてしまったんじゃないかと一瞬青ざめたけど、
バス停がちょっと手前にあったっていうだけの話なの。
ほら、テーマパークでも、入門ゲートくぐってから絶叫マシンまで、けっこう距離あるでしょ?
ちょっとジラすくらいでちょうどいいのよ。
シャウエンは坂の上にあるっていうんで、私は一人、登ったわ。
タクシーも声を掛けてきたけど、なんかタクシーってもう乗りたくないんですもの。
15分も坂道を登ると、着いたわ!
夢にまで見た水色の町・シャウエンよ!
『ミシェル2 -世界の果て-』



