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エピソード27 『名もなき町で』

  • 執筆者の写真: ・
  • 2023年3月16日
  • 読了時間: 2分

エピソード27

準備は順調だったし、レイキのお客もカフェのお客も来てくれたんだけど、

やはり僕とタコ八は衝突することになった。


レイキ伝授をここで営むのであれば、

僕は、この建物を禁煙にしたかった。

禁煙にしなくてもレイキ伝授は可能ではあるけれど、

受講者への誠意を貫くなら、禁煙にすべきだと思った。

僕は、禁煙希望の旨をタコ八に進言した。

でも、タコ八はそれをとても嫌がった!

タコ八たちは、ときどき管理棟を「息抜き所」として利用する習慣があるのだ。

奥さんたちから離れて、グテーと呑んだり吸ったりしたいらしい。

タバコなんて村のどこでも吸えるだろうに、

それでも管理棟を禁煙にすることは、彼にとって絶対に許せないらしかった。

僕は僕で、ここで賃金労働をするならば、

禁煙にし清潔にすることは、譲れなかった。


そうして僕とタコ八は衝突し、タコ八はあっさり、僕に三行半を突きつけた。

「俺の言うことが聞けんのやったら、オマエはもう、出ていけ!」

「わかりました。出ていきます。」

この環境を失うのはとても惜しかったけれど、

僕は潔く、そう答えた。

ここでタコ八が僕の意見を受け入れないのであれば、

この先この場所を僕の思想でプロデュースするのは、ムリだろうから。

エコビレッジ造りは、進まないだろうから。

それなら、いま離れたって同じだ。

僕はそう考えたんだ。要点はそこだよ。


『名もなき町で』

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