エピソード28 『リストラ後の7回裏で…』
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- 2023年3月26日
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エピソード28
四女・結衣は、ゴールデンウィーク明けに、
無事、我が家に戻ってきました。
少し痩せましたが、精悍な顔つきをしていました。
無防備に口をぽかんと開けるクセが、無くなっていました。
ハキハキと喋るようになっていました。
笑顔で居る時間が、格段に増えました。
楽観性やプラス思考が、身に付きました
「ベッドに虫が居る」といったような細かいことには、動じなくなりました。
5月中は、毎日毎日、
ラオスで起きた出来事を、楽しそうに喋っていました。
出会う人たちは、みんな純朴で、美しい瞳をしており、
レイプとか盗難とかそういうものは、全く無縁であったようです。
ラオスは、
基本的には、そのような国です。
東南アジアの中でも、
旅行者が少なく、経済も文明発展も緩やかなので、
穏やかで純朴な人が多いです。
とは言っても、
モラルの無い人たちも、それなりには混じっています。
あの子は、知性や直感を上手く働かせて、
巧みに、穏やかな人たちの空間を選び続けたのでしょう。
大きくなったものだと、ほろ苦い気持ちになりました。
末っ子がたくましくなるというのは、感慨深いものですよね。
四女・結衣がもたらした恩恵は、
それだけでは、ありませんでした!
毎日毎日、旅の様子を面白可笑しく聞かされるものですから、
三女・絵里香もそれに触発され、旅に出ると言い出しました。
その年の9月に、トルコに行きました。
トルコは本来、四女・結衣が目をつけていた国です。
四女・結衣は、「写真をいっぱい撮ってきて!」とお願いしていました。
私は、三女・絵里香に(というか家族共用ですが)、
マイクロ一眼カメラを買い与えました。
このカメラと四女・結衣からのお願いが、
三女・絵里香の隠していた新たな才能を、引き出しました!
三女・絵里香は、トルコで写真を撮りまくりました。
2週間足らずで、1,000枚を超えていました。
カメラを購入したのは、出国の直前だったため、
彼女はほとんどぶっつけ本番で、カメラの腕を磨いていきました。
その割に、想像以上に感性豊かな写真を撮ってきました。
私たちの家のリビングは、
今度は、写真ギャラリーの機能を兼ね備えるようになってしまいました。
…更に!
写真という、ビジュアリックでシェアしやすいアイテムのお陰で、
遠く離れた場所に住む、長女・和佳子と次女・京子にも、
放浪熱が飛び火してしまったのでした。
それぞれ、自分でお金を貯めて、
海外へと、旅立っていきました。
…私は結婚当初、
もし男の子が生まれたなら、
東南アジアを放浪するような子になって欲しいと、夢見ては、いました。
しかし、我が娘が女の子ばかりとなった時には、
家の中では極力、旅の話をしないようにしたのです。
あんまり、海外に旅立ってほしいとは、感じていませんでした。
沖縄をぐるっと周る程度の冒険でもしてくれれば、御の字と思いました。
…しかし、結局、
どんなに隠そうとも、
親の性質というものを、子どもは引き継ぐようです。
幸いにも、
たくまくしく困難を切り抜ける強さや、
時にはひらりと身を交わすしたたかさをも、
この子たちは、引き継いでくれたようでした。
私は、4人全てが海外放浪を終えた後、
堪忍して、「旅好きな自分」を解放してやることにしました。
自分の旅の「武勇伝」を、たくさん聞かせてやりました。
妻・翔子も海外放浪の経験者でしたから、
我が家は一家6人で、
海外の話で盛り上がりました。とてつもなく、盛り上がりました。
また、
一家全員が海外への見識を広めたことによって、
ウーフによる海外旅行者の来訪は、より面白いものとなっていきました。
娘たちは、
全ての国の人たちを、愛しました。
メディアである国と日本の険悪さが報じられ、
世相がその国の人々を攻撃するようなことがあっても、
彼女たちは、全ての国の人々を、抱きしめ続けました。
『リストラ後の7回裏で…』



