エピソード3 『おばあちゃん子の輪廻』
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- 2023年4月6日
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エピソード3
次に、就寝サイクル。
神奈川に居たころ、私はときどき、両親に夜中まで連れまわされたものだが、
おばあちゃんもおじいちゃんも、21時にはもう、布団の中の夢の中に居る。
必然的に私も、早々に眠りに就く。
夜中はいかがわしいテレビ番組ばかりだということを知ったのは、
高校を卒業してからである。
おばあちゃんのおかげで私は、
そうしたいかがわしいメディアの影響を、ほとんど受けずに育つことができた。
日中におばあちゃんが点けている番組も、
ニュースか相撲か水戸黄門である。
すると私は、魔法少女のステッキをおねだりするミーハーっ子には、なりようもなかった。
朝は、おばあちゃんは5時にはもう起きる。
私のことを起こしたりはしないが、
おばあちゃんが台所で大根をトントン切っていれば、
自然と私も、目が覚める。(大丈夫。21時に寝ているから、8時間は眠れている。)
5時に起きていれば、学校に遅刻するということは、まず起こりえない。
朝食を食べ逃すことももちろん無いし、
30分も1時間も掛けて、お腹いっぱい健康いっぱい食べることができた。
ときどきは、おばあちゃんと一緒に早朝の町を散歩する。
私は、朝の空気がこれほど気持ちよいということを、それまで知らなかった!
おばあちゃんは散歩をしながら、
野草の名前や効能、食べ方なども教えてくれた。
それは私を健康にしてくれただけでなく、
夏休みの自由研究や理科の授業にも、ずいぶん役に立ってくれた。
また、近隣住人とのコミュニケーションも、私はこの散歩で覚えた。
早朝散歩する人間には善人が多く、そして私は、善人の知り合いを多く持つことができた。
さらに、散歩犬をかわいがるのも楽しかった。
私は、たくさんの犬を撫で抱きしめる権利を得たが、かといって、世話をする必要はまったく無かった。
犬を愛でたい欲求は、早朝散歩でじゅうぶん満たすことが出来たので、
すると、「ハスキーを買って!」などとおばあちゃんを困らせることも、無かった。
野草の名前だけではない。
おばあちゃんは私に、友人たちが知らない生活の知恵を、無数に教えてくれた。
編み物、ボタン付け、藤カゴ編み、着付け、お抹茶、パンの焼き方、焼き芋の焼き方、
ヤケドの治し方、便秘の治し方、生理痛の軽減方法…
おかげで私は、日本文化をしっかり受け継ぎ、
安全な食に満たされ、お金の掛からない体調管理を会得できた。
『おばあちゃん子の輪廻』



