エピソード3 『沖縄クロスロード』
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- 2023年3月14日
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エピソード3
三上先生も例外なく、チューリップを愛でているオトコの一人だ。
だから私たちは、ヒヨリを先頭に職員室に押しかけ、
パンフレットの返却を懇願してみる。
「よしわかった。返してやろう。
でももう、授業中に開いたりするんじゃないぞぉ?」
三上先生はアッサリと、パンフレットをヒヨリに返してくれた。
ホラ見ろ。ヒヨリの笑顔に掛かれば、学年主任の三上先生だってイチコロだ。
「ところでオマエたち、沖縄旅行に行くつもりなのか?情報は足りてるのか?」
ホラ見ろ。オマケまでくっついてきた♪
「いえ、ぜーんぜんワカリマセン。
ねぇ先生?ホテルとコンドミニアムって、どう違うの?どっちがいいの?」
ユカたちは「気をつけ」の姿勢を解いて、
甘えるように先生のそばになだれ込んだ。
「ははは!仕方ないなぁ。先生が助けてやろう。
っていうかオマエたち、こんなに予算あるのか?
この『美ら海プラン』っていうやつ、
春休みのハイシーズンだと、たった2泊で5万もするぞ?」
「えー!5万!?ちがうよ29,800円だよ!?」
「それは11月のローシーズンの値段だろう?
表の見方もわかっとらんのだなぁ。
ほらよく見ろ?3月末は『S』って書いてあるだろ?
そしたら次はこっちの表だ。Sは幾らになってる?」
「…49,800…!!こんなにするの!?ガーン…」
「そうだよ。ハイシーズンは高いんだ。よく覚えとけ?
っていうか、29,800円なら予算足りたのか?」
「これからバイトして貯めるつもりー」
ヒヨリは親が出してくれるらしいが、ユカとマリはこれからバイトで貯めるのだ。
「はぁ…。バイトの辛さも知らずに、ノンキなもんだなぁ…
それで?スーツケースは?持ってるのか?」
「スーツケース?考えてなかった!
修学旅行のときはお姉ちゃんが貸してくれたけど、
今度はダメだろうなぁ。ケチだからあのヒト。」
「スーツケースだけでも1万くらいはするぞ?
それでオマエたち、水着買ったりなんだり、するんだろう。
マルイの水着は幾らだ?それもまた1万くらいするんじゃないのか?」
「えー!!するかもー!?」
「…一応言っておくが、
そもそも、旅費も5万じゃ済まないぞ?」
「え?なんで!?」
「食費も観光費もレンタカー代も、この5万には含まれてないんだよ。
朝食くらいは付くけどな。」
「えー?体験ダイビングはぁ??」
ヒヨリが口を開いた。
ヒヨリは、沖縄の熱帯魚さんたちとにらめっこがしたいのだ。
「もちろん別料金だよ。
ダイビングもするつもりなのか?
するとオマエら、10万以上は掛かるんじゃないか?」
「じゅうまん!?29,800円の3倍じゃん!!」
3人は、声をそろえた!
「そうだよ。旅行ってのはそんなモンだ。何かと物入りなんだよ。
ま、先生ならニーキュッパでもお釣りがくるけどな!わっはっは!」
「はー?どういうこと?
なんで三上先生はニーキュッパなの!?」
「こんなパンフレットは参考にしないからさ。
旅行会社のパックツアーなんて、高すぎて話にならないよ。はっはっは!」
「そうなの!?
でも、どのパンフも同じくらいの値段だよ!?」
「だから、どのパックツアーも話にならないんだってば。」
「じゃぁ、どうやって沖縄いくの??」
「個人旅行だよ。知らないのか?
旅行会社に頼らず、飛行機も宿も、自分で手配するのさ。」
『沖縄クロスロード』



