エピソード3 『真理の森へ』
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- 2023年3月19日
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エピソード3
「その代わり…」
母が私に突きつけた中退&留学の条件は、「お金」でした。
「留学の費用は、自分でアルバイトして貯めなさい」
それが、唯一の条件でした。
…家計的には、留学の費用が出せないわけではないようです。
けれども、「自分で稼いで自分で掴み取ったほうが、真剣になれるだろう」
というのが、両親の判断であるらしい。
大学学費を無駄に浪費してしまった手前、親のこの提案には逆らえませんでした。
私は早速、翌日から、退学の手続きと留学の下調べに取り掛かかりました。
「退学ではなく休学にしたらどうだ」と、出会う人誰もが引き止めてきたけれど、
私の意志は固いようでした。意志が固いというか、心理学への冷め具合がハンパないのだ。
学校には、さすがに留学関連の資料がたくさんありました。
かといって、オーストラリアや西欧ばかりで、フィンランドの情報はほとんどない。
唯一見つけたのが、ユスキュラという都市のユスキュラ大学のものでした。
とても大きな大学で、留学生の受け入れに積極的であるらしい。
ほかに調べるアテもないので、それを掘り下げてみることにしました。
とにかく留学生の受け入れに慣れており、留学生への保護が手厚いらしい。
とりあえず、希望が持てました。
海外経験の無い私にとって、いくら過保護でも過保護すぎることはない。
また、留学受け入れの条件も、そう難しくなさそうでした。
海外の大学は、受験時点でもう専門知識を問われるらしく、尻込みしたけど、
幸い、選択授業で培った基礎だけでも、どうにかなりそうでした。
自由筆記形式の論文を書けば良いのです。
英語での論文は難易度の高い試練だったけど、
幸い、英語も高校までにそこそこやっていました。
私はとにかく、お金を貯めました。
退学したからには時間は溢れるほどあるので、
週6日か時には7日のペースで、黙々と働き続けました。
翌年の4月、
無事、留学許可の書類が届いた!
周りの子たちは大学2年生に進級。私は猛絶アルバイター。
フィンランドの学校は8月が新年度なので、まだ渡フィンはしません。
引き続き、アルバイト三昧の日々が続きました。
いや、一度だけ休暇を取りました。大分に飛んだのだ。亮くんに会いたかった。
ゆうこママの店の2階を借りて、そこでまた、抱き合った。
亮くんは私の彼氏か?いや、違う。
私は、彼氏でもない男性とセックスをしている。
母や父には言えないけど、でも、これで悪くないと感じています。
私はどうも、
周りのみんなみたいな毎週束縛しあう恋愛は、向いていない。
それでも男のひとと親密になりたいし、温もりもほしい。
すると、こういう微妙な関係性が、私には向いているように思う。
当然、セックスだけが目的ではなかったのです。
私は、フィンランドに留学する旨を、亮くんに話したかったのです。
なんと、亮くんが行ったのもユスキュラであるらしかった!
私は、亮くんの背中を追いかけるのだ。
亮くんと同じ風景の中で、亮くんと同じクローバーを見つけられるだろうか。
それは、とても面白そうなゲームだった。私にはそう感じられた。
亮くんは、あまりユスキュラ大学のことを話してはくれなかった。
「自分で開拓したほうが面白いだろうから」といたずらっぽく笑っていました。
それで良いと思いました。たぶん、何とかなる。
「フィンランドはいい国だよ。とっても♪」
亮くんは、そればかり繰り返していました。
『真理の森へ』



