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エピソード4 『おばあちゃん子の輪廻』

  • 執筆者の写真: ・
  • 2023年4月6日
  • 読了時間: 2分

エピソード4

おばあちゃんは、学校行事に関しても、1つも欠かさず参加してくれた。

入学式、授業参観、運動会、合唱祭…

わたしが頑張り、成長していく雄姿を、いつも笑顔で見守ってくれた。

なにしろおばあちゃんはおばあちゃんで、会社に出勤したりはしないので、

だいたいいつでも、私のために時間を割けるのである。


おばあちゃんはとにかく、私を一人ぼっちにはさせなかった。

会社に出勤しなくて良いという理由は前述したが、

息抜き目的の外出も、ほとんど必要としなかった。

フランス料理を食べに行ったりはしないし、カラオケにも興味は無い。

絵手紙教室は欠かせないようだったが、それは私も連れていってくれた。


私は、大人というものが息抜きや趣味を必要とすることを、幼いなりに知っていた。

母はそうしてよく外出したし、フランスにまで飛んでしまったのだから。

だから、おばあちゃんのストレスが心配になり、「たまには出かけたら?」と声も掛けた。

しかしおばあちゃんは、「他愛もない!」とニカニカ笑っていた。

「ハワイも行ったし、メキシコ料理も食べたし、

 温泉もデートも行った。フラダンスの稽古も行ったし。

 60年も生きてんだから、やりたいことなんてもう、済んじまったのよ!」

朝から晩まで孫の世話に追い立てられていても、我慢や抑圧はさっぱり無いらしかった。


60歳。

おばあちゃんの肉体は、とうに老化が始まっていて、しんどそうな面もあった。

が、精神に関しては、ずいぶんとゆとりを感じさせた。

おばあちゃんは、およそ怒らなかった。そして、動揺しなかった。

60歳。たくさんの人生経験と、養育経験があるからだ。


『おばあちゃん子の輪廻』

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