エピソード4 『イエスの子らよ』
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- 2023年3月4日
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教会から、階段を2つ下りて廊下を2つ曲がったところに、
同じような部屋がいくつも並んでいたわ。これが寄宿舎ね。
おばさまは、私を一番奥の部屋に通してくれた。
トントン。
「エルサ?いるかしら?」
「はい。ただいま。」
戸を開けてくれたのは、小さな女の子だったわ。
「エルサ。新しい修道女よ。マリアンヌですって。
いろいろ教えてあげてね?くれぐれも、仲良くするのよ。」
「はい。シスター・エマニエル。」
あら、2人部屋なのね。私、仲良くできるかしら?
きっと大丈夫ね。礼儀正しくておしとやかな子じゃない。
「服はこれね。荷物を置いて着替えたら、
エルサに食堂を案内してもらいなさい。わかった?」
「はい。わかりました。」
パタン。おばさまは行っちゃったわ。
「おばさま」じゃないわね。「シスター」って呼ばないといけないんだわ、修道院では。
私は今度は、エルサにあいさつをしたわ。あいさつばっかりで忙しいわね。
「はじめましてエルサ。私はマリアンヌです。
私10才だけど、あなた何才?」
「アタシ、9才よ。」
「そう。じゃぁ私のほうがお姉さんね。」
「そう?アタシ9才だけど、この修道院に来てもう2年も経つわ。
アタシのほうが先輩ってことよ。
…あなた10才なの?もっと幼く見えるわ。
栄養が足りてないんじゃないの?家が貧しいの?」
「みんな同じこと言うのね!小さくてもいいんじゃない?別に。
あなたのほうが先輩だけど、私のほうがお姉さんよ。」
「そうね。じゃぁ、どっちもどっちってことで。」
エルサったら、なんだか急にナマイキになったような?
シスター・エマニエルの前では、ネコをかぶっていたのかしら。
私にチビって言ったけど、エルサもチビだったわ。
髪はおかっぱで、ほっぺにそばかすがたくさんあるの。
ナマイキな子かもしれないけど、仲良くしなくちゃ。
私は、友愛の気持ちをこめて、1つ話題を作った。
「さっそくだけど、1つ聞いてもいい?」
「なんなりと。」
「大人って、どうしてウソばかりつくのかしら?
さっきから私、オムレツオムレツって言われてるのに、
いつまでたっても、オムレツにありつけないわ。」
「それはアレよ。
アタシたち子供っていうのは、エサで釣らないと良い子にしないからよ。
マリアンヌだってそうでしょ?いつでもお行儀よくしてる?あなた。」
「ううん。あんまり言うこと聞かないわ。」
「そうでしょ?それならウソ付かれたって仕方ないのよ。
どっちもどっちってことね。」
『イエスの子らよ』



