エピソード4 『沖縄クロスロード』
- ・
- 2023年3月14日
- 読了時間: 3分
エピソード4
「旅行会社に頼らず、飛行機も宿も、自分で手配するのさ。」
三上先生は、パンフをポイっと投げ捨てる。
「自分で!?」
「自分でって言ったって、昔よりずいぶんラクになったもんさ。
インターネットもあるしなぁ。
宿なんて、安宿なら予約すら要らないよ。
…3月は混むだろうが…それにしても、どっかしら泊まれるだろう。」
「飛行機って、自分で取れるの?難しいから旅行会社があるんじゃないの?」
「はっはっは!カンタンだよ。
飛行機予約を旅行会社に頼んでるのは、機械オンチな爺さん婆さんだけさ。
『LCC』で検索してみ?
いまどき、東京-沖縄なんて片道5,000円で行けるさ。」
「5,000!?ムリっしょ!
バースデー割でも12,000円だよ!CMでやってたもん!」
「それはJALやANAだろ?
高いんだよその2社は。バーゲンでも高いんだ。マルイと同じさ。
だから、『LCC』で検索してみろよ。航空会社のブランドを気にしなければ、
5,000円で沖縄まで連れてってくれらぁ。」
「へー!知らなかった!!三上先生ったら物知りなんだ!」
「はっはっは!ダテに社会の教師やってないさ。」
三上先生はフフンと鼻をこすった。
ユカはどんどん質問する。
「そういえば、安宿がどうとか言ってたけど…
安宿って、民宿のこと?
ユカ、民宿イヤだなぁ。畳の部屋に寝るんでしょ?壁薄いし汚いし…」
「はっはっは!民宿すらイヤなら、
やっぱり5万払って旅行会社に頼むこったな!
パックツアーなら、オーシャンビューの4つ星ホテルだよ。
しかも、個人で予約した場合の半額くらいに割り引いてくれる。」
「でしょ?やっぱパックツアーって安いんだよー!親切なんだよー!」
「そうかなぁ?俺はそうは思わんよ。
オーシャンビューの部屋であっても、1万円もの価値があるとは思えん。」
「だから、割引されて5,000円なんでしょ?安いじゃーん。」
「5,000円でも高いさ。割引されても、尚、高い。大手企業ってそんなもんだ。
1泊1,000円で泊まれることを知ってるヤツにとっては、
半額セールだとしても、5,000円なんて払えないなぁ。」
先生はアメリカ人みたいに肩をすぼめる。
「1泊1,000円!?それどんなオンボロ民宿なの!?」
「はっはっは!民宿じゃないんだよ。オンボロじゃないしな。
ゲストハウスっていうんだ。沖縄に腐るほどあるよ。…離島には少ないがな。」
「ゲストハウス??そんなの聞いたこともないよ??」
「そうだろうよ。オマエらの親御さんはバブルの申し子だから、
ゲストハウスなんて泊まったことないだろうさ。3ツ星ですらモンク言うだろ?
しかしな、
貧乏でたくましい、若い旅人なんかは、もっぱらゲストハウスに泊まるよ。
何せ、1泊1,000円か1,500円か、そんなもんだからなぁ。」
「何なの!?何でそんなに安いの??」
「安さの理由はいろいろあるけど、要するに、共有物が多いんだよ。
1,000円の部屋なんざ、ベッドもドミトリーだ。相部屋のことだよ。
そんで、トイレもシャワーも共有だ。
客室係は、1日に100個もトイレ掃除しなくて済むんだよ。だから安い。」
「うぇー!知らないヒトとトイレ共有するの!?ありえなくない!?」
「オマエら、学校のトイレもマルイのトイレも、
見知らぬ連中と共有してるじゃないか!
むしろ、高級ホテルくらいだよ。トイレを占有して使ってるのはさ。そうだろ?」
「そっかぁ。
でも、なんか気乗りしないなぁ…
相部屋でしょ?そんなのありえなくない?」
「まぁ、オマエらは少子化世代だから、相部屋は慣れないよなぁ。
でも、2,500円も払うならゲストハウスにも個室があるし、
近年はたいてい、女性専用の部屋やフロアを設けてるから、そんなに辛くないよ。」
「でもなぁ…」
「まぁいいさ。
とにかく、LCCとゲストハウスを活用するなら、
飛行機代と宿泊費で15,000円で済むぞ?
オマエらの『美ら海プラン』だと、29,800円…もとい、49,800円だろ?」
ゲストハウスというのはいまいちピンとこなかったけど、
確かに、飛行機と宿だけで5万円も払うのは、バカらしい気がしてきた。
っていうか、10万以上も貯められるかわからないし。
『沖縄クロスロード』



