エピソード4 『碧い鳥 -最高の医療は何だ?-』
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- 2023年3月30日
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エピソード4
陽菜たちは、湖前の大通りからバスに乗ります。小さなバスです。
湖をぐるっと迂回し、住宅街を抜け、20分も走ると、
チベット人の居住区にたどり着きます。
バスは、手前の大通りで陽菜たちを降ろしました。そこからは歩きです。
目当ての施設がどこにあるのかわからないけど、
まぁ、なんとかなるでしょう。
チベット仏教のお寺に寄り道し、尚も歩き続けると、
場違いな鉄筋コンクリの建物がありました。これに違いありません。
陽菜たちは、
50センチほど開け放たれた鉄門をすり抜け、庭に入っていきました。
特に警備もなく、誰かに怒られたりもしません。
玄関のところには、警備室のようなものがあって、
エンジ色の衣をきたチベット僧が、セキュリティチェックをしているようでした。
陽菜たちは、その人に声を掛けてみました。
「ここは病院みたいな施設だと聞いたのですが…」
「おや?急病患者さんですか!?」
驚いたことに、そのチベット僧は、日本語がペラペラでした。
…よく考えてみれば、驚くことでもありませんね。日本人と一緒に研究してるんだもん。
「難病患者ではありますけど、急病というわけではありません。
どういう医療に取り組んでいるか、見学したいんです。出来ますか?」
「えぇえぇ、かまいませんよ。
日本人のお客さんなんて、大歓迎です!
私がこのまま、施設案内しましょうね。ついてきてください。」
「え?警備とかしなくて良いんですか?」
「ははは。どうせ誰も来やしませんよ。
まぁ、館の者がここを通れば、私の代わりに就いてくれるでしょう。
みんな、臨機応変にやっています。」
どうも、日本のお役所とは雰囲気が違うみたい。
『碧い鳥 -最高の医療は何だ?-』



