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エピソード5 『アオミ姫』

  • 執筆者の写真: ・
  • 2023年4月1日
  • 読了時間: 2分

エピソード5

「ふぅ。

 なんとか脱出(だっしゅつ)成功だわ!」


「まだ安心するのは早いんやないかぁ?

 城のモンに見つかったら、

 またあの、尻(しり)たたきの刑(けい)やでぇ?」


「そうだったわ!

 早く、遠くまで逃(に)げなきゃ!!」



姫は、

ドレスの裾(すそ)を持ちながら、小走りで、

森へとつづく小道を行きました。


城が見えなくなりそうな、その時、

前方から、メイドのフラミースが、歩いてくるではありませんか!

手にカゴを持っていますから、

町までお遣(つか)いに出かけた帰りなのでしょう。



「どどどどーしよう!?

 ハチ合わせしちゃうわ!!」


「そう、あわてなさんな。

 そこのヒイラギの木陰(こかげ)に、かくれればエェねん。

 アタマ使えば、なんでも解決できるわなぁ。」


「そ、それもそうね!!」



アオミ姫とホトミは、

ヒイラギの藪(やぶ)に、身をひそめました。


メイドのフラミースは、

鼻歌を唄いながら、どんどん近づいてきます。


「ドキドキドキドキ…!!」

アオミ姫は、ハラハラドキドキです!

こんなにキンチョウするのは、生まれて初めてかもしれません!!


「姫さん?

 ドレスの裾が、はみ出しとるでぇ。」

ホトミは、そう言うと、

ドレスの裾を口にくわえて、藪の内側に折りたたんでくれました。


「ホトミ!

 あなた、お手柄(てがら)じゃない♪いいコねぇ♪」


「ふふん♪

 ワシ、優秀(ゆうしゅう)な犬じゃからのう。」



メイドのフラミースは、どんどん近づいて来ます。

相変わらず、鼻歌を唄っています。

鼻歌は、城では禁止なハズなのですが…

姫は、叱(しか)ってやりたいところでしたが、

なにしろ、自分はもっと罪深(つみぶか)いことをしていますから、

フラミースには、何も言えません…


フラミースは、姫たちの目の前を、通りかかりました。


その時です!


「ぶぁーーーーーっくしょん!!!」


となり町まで聞こえそうな、大きなクシャミです!!

ヒイラギのトガった葉が、鼻先をくすぐったため、

ホトミはウッカリ(!?)、クシャミをしてしまったのです!!


「きゃーーー!!」

それにおどろいて、

アオミ姫は、ハデにシリモチをついてしまいました!


「でぇぇーーー!!

 ひ、ひ、ひ、姫さま…!?」


「もぉーーー!!!

 ホトミの役立たず!ロクデナシ!クズ!」


「まぁまぁ、姫さん。

 落ち着きなはれ。

 予定外なことが起きたからと言って、不幸とは限らんでぇ?」


「何言ってんのよ!!

 お城に連れもどされるに、決まってんじゃない!!」


「…つ、連れもどされるって、姫様、

 もしや、脱走(だっそう)をなされたのですか…!?」


「そうよ!その通りよ!何かモンクある!?」


「モンクも何も…

 わたくしフラミース、姫様のお供をさせて頂いて、良いですか!?」

「ヘ…???」


『アオミ姫』

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