top of page

エピソード6 『星空のハンモック』

  • 執筆者の写真: ・
  • 2023年3月20日
  • 読了時間: 2分

エピソード6

「ねぇカツミくん、一緒に海に行こうよ?」

誘ったのは私じゃない。またしてもリナちゃんだ。

あんな可愛い天使にデートに誘われて、断る男などいるはずがない。

…と思いきや、カツミくんは予想外の返事をする、

「ごめんよぉリナちゃん。

 僕、斎場御獄(せーふぁうたき)っていうところに行こうと思ってたんだ。」

「えぇぇ、つまんない。」

こんな可愛い天使でも、失恋を味わう仕組みになっているのか、世の中は。

「百名ビーチ、なかなかいいですよ?静かで。」

私はリナちゃんの援軍をする。

「そうなの?でも、斎場御獄気になってるんだよね。」

私のフォローも空しく、

カツミくんは一人で、斎場御獄とやらに行ってしまった。


私たちは私たちで、

百名のビーチへとタラソテラピーをしに出かけた。

サンドイッチの昼食を持参して、いつもより長めに遊んだ。

今日はリクくんも一緒で、

だからなおのこと、リナちゃんは活発に遊び回った。

14時過ぎに家に戻ると、

遊び疲れたリクくんとリナちゃんは、すやすやと昼寝してしまった。

おまけに麗子さんまで。


3時過ぎ、カツミくんが戻ってくる。

「ビーチボールもらってきたよ!海に行こう!

 …あれ?子供たちは?」

「あはは。昼寝しちゃいましたよ。今しがた。

 海も、行っちゃったんです。私たちだけで。」

「そっか、残念。

 今斎場御獄でね、百名ビーチも重要なパワースポットだよって聞いて。

 僕、パワースポット巡りに興味あるからさ。

 なんか、アマミキヨ上陸を奉った御獄とかあるんでしょ?

 道案内してもらおうと思ったんだけど…」

「あ、私知ってますよ。案内しましょうか?」

…ひょんなことから、私とカツミくんのビーチデートになってしまった。


『星空のハンモック』

bottom of page