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エピソード6 『沖縄クロスロード』

  • 執筆者の写真: ・
  • 2023年3月14日
  • 読了時間: 2分

更新日:2024年1月10日

エピソード6

ユカは、アルバイトを始めました。お金貯めなきゃ!

駅前のパスタ屋さんを選びました。メニューをよく知ってるし、カンタンそうだったから。


…はた目ではカンタンそうに見えたのに、案外そうでもなかったり。

セールストークを1字でも間違えると、チーフがガミガミ怒るんだ。

「ら」が時々抜けていようが、

ユカがへりくだっていることはお客さんに伝わるだろうし、

ユカが真剣だってことも、お客さんに伝わるよね。

だから、別に良いじゃんね?1字くらい間違ってたって。

でも、チーフは「ダメだ!」って言う。

セールストークのテストで100点満点取らないと、研修時給のままにされちゃう。

本時給と200円も違うんだよ?その差は大きい。


「ユカのパスタ屋さん、厳しすぎるー!」ってお父さんにグチったら、

「いまどき日本企業は、どこでもそうだ」って嘲笑された。

高校では、80点取れたら優等生扱いしてもらえるのに、

社会に出たら、100点満点取らないとクズ扱いなの?キツ過ぎる。



お客さんの中には、時々、イレギュラーな人がいる。

「このカルボナーラ、ベーコン抜きでお願いできる?」

なんて言うんだ。菜食主義なんだって。

私は厨房に戻って、チーフに「ベーコン抜きでお願いします」と告げる。

すると、思いがけない返事が!

「おいおい!面倒な注文受けるなよ!」って、なぜか私が怒られる。

チーフ、お客さんの前では礼儀正しいのに、バックヤードでは口が悪い。

どこのチーフもそんなもんなの?


チーフは、オーダーどおり、ベーコン抜きのカルボナーラを作る。

私はそれを見て、呆気にとられる。

なぁに?この、殺風景な料理…

「あの。チーフ?

 ベーコンの代わりにタケノコでも載せたらいかがですか?」

ユカがシェフだったら、そうするなぁ。

でも、チーフは違うみたい。

「いいんだよ。ウチの系列はそういうマニュアルになってんの!」


「ユカのパスタ屋さん、冷たすぎるー!」ってお父さんにグチったら、

「いまどき日本企業は、どこでもそうだ」って嘲笑された。

ベーコンの代わりにタケノコ載せない店員のほうが、

100点満点であり、200円多くもらえる文化みたいです。



ユカ、あと2年もしたら学生ではいられなくなっちゃうんだけど、

朝から晩までこんな社会で働いてられるのかな?

ユカはギリギリセーフかもしれないけど、

ヒヨリなんて絶対、働けそうにないよ。

あの子、「ら」抜き言葉でしかしゃべれないし。

マリは大丈夫だと思うから、マリに養ってもらおうかな。ダメかな。


『沖縄クロスロード』

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