エピソード6 『イエスの子らよ』
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- 2023年3月4日
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更新日:2024年1月8日
でも私、眠くならなかったわ。
お昼寝いっぱいしちゃったんだもの。馬車の中で。
つまんないから本は閉じて、
それでも眠ろうと、努力はしたのよ。
100まで数えたら眠れるときもあるから、それもやってみたの。
でも眠れなかったわ。
200まで数えてみたけど、それでもダメだった。
いつもよりはがんばったわ。修道院に来たんだもの。
エルサも灯りを消してて、やることなくて、つまんない。
私、部屋をこっそり抜け出すことにしたわ。
図書室の並びにいくつか部屋があったから、探検してみようっと。
廊下は真っ暗よ、当然。窓から少し、月明かりが射しているけどね。
ロウソクで照らしながら歩くの。
迷わず行けるか不安だったけど、無事行けたわ。図書室の並びまで。
図書室のとなりは手芸室。そのとなりに、チェンバロがあったわ!音楽室ね。
まさか音楽室まであるとは思わなかったし、
チェンバロがあるとは思わなかったわ。
チェンバロって知ってる?ピアノの親戚みたいな楽器よ。
若作りなおばあちゃんが早口でしゃべってるような音色なの。
私は興味をひかれて、そっと音楽室の戸を開けた。
だーれもいないわ。当然よ。真夜中だもの。
弾く気は無かったけど、興味をひかれてね、チェンバロの前に座ったの。
フタを開けて中を見ようとした、その瞬間…
「何をしているんですか!」
背中から怒鳴り声がして、私、死ぬほどビックリしたわ!
おばけを目撃するよりももっと怖かった。
振り返るとそこには、背の高いシスターがいたわ。名前は知らない、まだね。
「こんな夜更けに、何のつもりですか!」まだ怒鳴ってるわ。
「ごめんなさい…。」私は素直に謝った。目は見れなかったけど。
「あなた…
今日新しく入った子ね?」シスターは、ロウソクをかかげながら言ったわ。
「そうです。マリアンヌといいます。」
「言われなくてもわかるでしょう?夜中は出歩き禁止です!
すぐに戻りなさい!」
私、連れもどされちゃった。
『イエスの子らよ』



