エピソード7 『おばあちゃん子の輪廻』
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- 2023年4月6日
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エピソード7
おばあちゃんに育てられたことの弊害というか、デメリットといえば、
やはり、周りの子たちと話が合わないことだろう。
テレビの話題はわからないし、おやつはダサいし、考え方がずいぶん違う。
そのため私は、あまり友人には恵まれなかった。
一人で過ごす時間が増えると、私は絵画に没頭しはじめた。
散歩、学校、絵画、水戸黄門、絵画、絵画…
およそ、そのような生活になった。
絵画は、あまりお金になるスキルではない。それはわかっていた。
だから、「芸大に行きたい」と切り出すのは、とても勇気がいた。
しかし、おばあちゃんはいともあっさりと、芸大行きにOKを出してくれた。
「バレリーナの子なのだから、OLになるはずがない」
おばあちゃんはニカニカ笑う。18年前から、解っていたのだろう。
そうなのだ。
結局私は、母の子であるらしかった。カエルの子はカエルであるらしかった。
マイペースな芸術家なのだ。
アルバイトをしながら絵を描き続けた私は、母の気持ちがよくわかった。
賃金労働に日6時間吸い取られるだけでも、私には苦痛だった。もっと絵を描きたい。
すると、子供を産み朝から晩まで養育するなんていうのは、私には出来そうもない。
子供は嫌いではない。人助けも嫌いではない。
しかし、感受性豊かなこの二十代・三十代の青春期に、
私はどうにも、キャンパスの上からはみ出すわけにはいかなかった。
まだまだ学びたいことはたくさんあり、描きたいものはたくさんあり、
今しか表現できないパッションが、絶対にあるはずだった。
私は、
母が娘を置き去りにしてまでフランスに飛んだその心情を、誰よりも理解できた。
恨みなど微塵も感じない。共感しか無い。



