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エピソード7 『マイウェイ -迷路の町のカロリーナ-』

  • 執筆者の写真: ・
  • 2023年3月6日
  • 読了時間: 2分

引越しは、6月のある日だったわ。

ポパイのマスターが、「夏のセントニールはきれいだよ」と言ったからでもあるけど、

テキトーに準備したら、それくらいの季節だったの。

冬に準備が済んでたなら、冬に旅立ってたとおもうわ。


そう。私たちが引っ越したのは、セントニールという島。

島一面に、真っ白い家が立ち並んでいたわ。

イタリアや地中海では、こういう白い町は珍しくないの。キレイだからね。

今度もやっぱり、迷路の町だったわ。家も道も、とても複雑に入り組んでいるの。

今度は丘にある町だったから、段差まであるのよ。前よりもっと迷路。

結局、カフェテリアのマスターをやるような人っていうのは、

迷路の町を好むのよ。子供っぽいのね。

そしてきれいな町を好むのよ。芸術家なのね。

カフェテリアのマスターに相談するなら、

あなたはいつだって、子供っぽいものか芸術的なものにたどり着くわ。

つまり、行き着けのカフェテリアが見つかるかどうかで、

その人の人生がどうなるか、決まってしまうの。そういうものなのよ。

あなたの行き着けのカフェが、忙しない店だっていうなら、

あなたの人生だってやっぱり、忙しなくすぎていくわ。

あなたの行き着けのカフェが、ありふれたチェーン店だっていうなら、

あなたの人生だってやっぱり、チェーン店のようにありふれたものになるわ。


私たちが島についたのは、夕暮れ時でね。

真っ白い集落が燃えるような夕日に照らされて、それはそれは美しかったわ。

そしたらパパは、奇妙なことを言うの。

「懐かしいな…」ってね。

初めて来たのよ?パパも私も。



『マイウェイ -迷路の町のカロリーナ-』

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