エピソード7 『無人のお祭り』
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- 2023年4月12日
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エピソード7
そのゲストハウスは、
ある集落の、なだらかな丘の上にあった!
だだっ広い荒地の中にポツンと、
ログハウスみたいなのが佇んでいた。
「これ、マスターが自分で建てたって、ホントなんスか!?」
「あぁ、ホントだよ。
まぁ、厳密に言うと、
一人だけ大工を雇って、その人に教わりながら建てたんだけどね。
でも、全ての工程にボクの手が掛かってるよ。
そこは、こだわりりたかったんだ!
元々、ここには牛舎があってね。
農家だったんだね。だから、土地も広いんだよ。」
そうなのだ!
どこからどこまでがこの宿の敷地であるか、よく見分けが付かないけど、
とにかく、かなり広い敷地を占有してる。
しかも、日本最西端の海が見える、海沿いの丘の上なのさ♪
僕らは、建物に向かいながら、話を続けた。
「でも、沖縄って、土地買うの大変なんですよね?
地元の住民は、
なかなかヨソ者に土地を貸さないって、聞いたことある…。」
「よく知ってるね!
まさにその通りなんだよ。
ボク、与那国に知り合いが居たワケじゃナイから、
まず、地元民と仲良くなることから、
コツコツ、スタートしたんだ(笑)急がばナントヤラだね。」
「『仲良く』って?お歳暮でも配って歩いたんスか?」
「あっはっは!
モノで釣ったりは、しないよ!
ボク、まず、この島のゲストハウスに長期滞在して、
『住人になること』から始めたんだ。
ゲストハウスのヒトが、
空港の荷物運びの仕事を紹介してくれたから、
それをやりながら、1年くらい暮らしたよ。
その仕事は、
午前中の4時間しかナイんだけど、時給が1,200円も出る。
このヘンの相場で考えたら、破格だよね!
ゲストハウスは、
月単位で契約すれば、一日頭1,500円くらいだから、
一日4,800円、週5日で10万ほど稼げば、
それなりに、暮らせるよ。
…自炊が出来なかったら、キツかったろうけど。」
「へー!!
苦労人だぁ!
小さな宿なんて、たいていは、
『親の七光り』で経営してるか、
誰か先代から、譲り受けてるだけっスからねぇ。」
「あっはっは!
苦労人ってほどでもナイよ?
ノンビリ気楽に、暮らしてたさ。
急いでも、解決しないからね。
それで、あーだこーだ人脈も広がっていって、信頼も得ていって、
この場所に、土地を買えたんだ♪」
「で?ようやく宿造りの始まりでしょう?
イチからこのサイズの建物を造んのは、大変っスよねぇ?」
「元々ここにあった牛舎を、最大限に活用したから、
時間は掛かれど、そんなに困難ってモンでも無かったよ。
ホラ、
宿ん中歩いてると、ところどころ、色の違う場所が、あるでしょ?
こういうトコが、牛舎の部分だね。」
「っほー!!」
『無人のお祭り』



