エピソード7 ヒミツの小屋のこと
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- 2023年3月10日
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エピソード7 ヒミツの小屋のこと
「まぁ、小さな女の子!
ホっとしたわ、オオカミさんじゃなくて。」
小屋から現れたのは、
とても髪の長い、ロイスくらいの年の女性であった。
ホっとしたのはミシェルのほうだ。
「ごめんなさいおどろかせちゃって。
私もおどろいたから、あおいこってことにしてください。
あなたが、ヘンゼルの正体?」
「ヘンゼル?どういうこと?」
「ベリーを落として道しるべしたのは、あなたではないの?」
ミシェルはベリーを1つ拾って、その女性に見せた。
「あははは。たしかにそれ、私ね。
でも私はヘンゼルじゃなくて、アンジェリカ。
ちょうど昨日、ベリーを大量に拾いにいったところだったの。
エプロンに穴が開いてたのかしら?わざと落としたわけではなかったんだけど…」
「おかげで道案内してもらえたわ♪」
「まぁ。遠路はるばる、ようこそおじょうさん。
お茶でも飲んでいったら?」
ミシェルは、小屋の中に通してもらった。
LDKだけのこじんまりとした小屋であった。
古ぼけた外観からは意外なほど、中はきれいに整とんされていた。
物もたくさんある。よくわからない草がたくさんぶら下げてある。
テーブルで待つミシェルのもとに、アンジェリカはお茶を運んできた。
「えっと、ミシェルちゃんっていうのね?」
「え!?私まだ名乗ってないのに!?」
「うふふふ。またまたおどろかせてごめんなさいね。
私、魔女だから。知らないはずのこと、わかっちゃったりするの。」
「魔女!?やっぱりあなた、魔女なの!?
子供を食べるのよね!?」
「あはははは!あなた絵本の読みすぎよ。
たしかに魔女は、意地悪だったりヘンクツだったりに描かれることが多いけれどね。
私は子供を食べたりしないし、悪さをしたりもしないわ。
むしろ、悪いことしたくないから森に引っ込んだんだもの。」
「そうなの!?」
「そうよ。おとぎ話に書いてあることは、たいていデタラメ。
森に住む魔女に、意地悪な人は少ないわ。
悪さをしたいなら、都会に行ったほうが良いわよ。」
「たしかに…」
「魔女は魔法をあやつるからね。
王様も政治家も、魔女を恐れたのよ。
それで、魔女がきらわれるようなおとぎ話をたくさん作ったのね。」
「っていうか、
魔女って本当にいるの?魔法なんてファンタジーでしょ?」
「あら?あなた、魔女のこと知らないの?
おかしいなぁ。あなた、すぐ身近に魔女がいるようだけど…」
「えー?
そういえば、ウィリアムスさんのお母さんだかお祖母(ばあ)ちゃんだかは、
魔女だって言ってたわ。」
「ウィリアムスさん?その人は知らないわ。
もっと、もっとあなたに身近な人のはずよ。お母さんとかお祖母ちゃんとか。」
「うちの?お母さんかお祖母ちゃん??
ないない!それは無いわ!
うちのお母さん、魔法とかぜんぜん興味ないし、
お祖母ちゃんは変人だけど、しいて魔女っぽいところ挙げるなら、
カモミールティー飲んだらすぐ寝ちゃうことくらいよ。」
「うふふ。あなたのお祖母ちゃん、魔女よ。
私のような浮世ばなれな生き方はしなかったんでしょうけど、魔女の血は濃いわね。」
『ミシェル』



