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エピソード8 『「おとぎの国」の歩き方』

2023年3月5日
読了時間: 2分

車掌の巡回が終われば、あとはもう静かなモンだった。

普通は、向かいの席の乗客と世間話に花が咲いたりするモンだけど、

そういうのもぜんぜんナイ。

英語の話せる人が居ないし、社交的な人も居ないんだろう。

ホントに三途の川に行くのかなって、思っちゃうよ。


真夜中。

僕は、寒さから尿意をもよおした。

バックパックが座席の下にしっかり納まっているのを確認して、

すばやくトイレへと向かった。

トイレも絶好調に汚く貧しくすきま風吹きまくりだけど、

今はトイレの話なんかしてる場合じゃないんだな。

僕は、盗難を警戒して、そそくさとシートに戻った。

再びバックパックを眺めてみるけど、特に荒らされた形跡もなかったから、

安心して、再び眠った。


朝起きて、ビハーリーの駅について、

バックパックを持って、ビックリさ!

なんか、軽くない!?

とりあえずホームに出て、人波がしずまるのを待って、

バックパックを開けてみる。

ガーン!!

ノートパソコン、盗まれてる…!!


いちおう警察には行ったけど、

盗まれた物が返ってくる可能性は、タイムマシンが発明されるより低いし、

出てくるまでこの町で待ってるわけにもいかないからね。泣き寝入りすることにしたよ。

パソコン自体も惜しいけど、

パソコンに保存してた旅写真のデータが、それ以上に惜しかったさ。

プライスレスだからね。同じ写真なんて、二度と撮れやしないし。


普通、バックパッカーたちは、

荷物にせよデータにせよ、盗難対策をもっとシッカリやってるよ。

僕はこれまでの放浪で、あんまり盗難の危険性ってのを感じたことがなかったから、

あんまり厳重にはしてなかったんだ。

キミがインドに行くなら、もっとみっちり対策しといたほうがイイよ。

トイレ行くときは貴重品を抱えて持っていったほうがイイし、

南京錠とかでバックパックを施錠しといたほうがイイし、

3等車には、乗らないほうがイイかもしんないな。



『「おとぎの国」の歩き方』

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