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エピソード8 『おばあちゃん子の輪廻』

  • 執筆者の写真: ・
  • 2023年4月6日
  • 読了時間: 1分

エピソード8

私は、絵描き仲間と恋に落ち、時折りデートを交わした。

そして私は、彼の子を身ごもった。

それは予期せぬ出来事であり、歓迎せぬ出来事であった。

私は私の創作を、養育に遮られたくは無かったのだ。


おばあちゃんはもう、80歳を超えていた。頼れるはずがない。



思い悩む私に手を差し伸べたのは、50歳を過ぎた母であった。

私が妊娠したことを知ると、母は白鳥のごとく、セーヌ川から舞い戻ってきたのだ。

そして、おばあちゃんみたいにニカニカ笑いながら、余裕しゃくしゃくに言った。

「母さんが赤ちゃんの面倒見るから!

 アンタは絵でも恋でも、思う存分やりなさい♪」


「でも!お母さんにも人生が…」私は慌てて反論したが、母はそれを制して言った。

「フランスも行ったし、トルコ料理も食べたし、

 サーカスもデートも行った。フラメンコの稽古も行ったし。

 50年も生きてんだから、やりたいことなんてもう、済んじゃったのよ♪」



エピローグ

念のため解説を加えるが、

つまり、おばあちゃんに育てられるということは、まったく不幸ではない。

むしろ、人生経験豊富な熟年者に育てられることは、

幼い子供にとって、有意義なことばかりであるらしい。


『おばあちゃん子の輪廻』

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