第27章 ちゅうだんのしょ
- ・
- 2023年3月1日
- 読了時間: 2分
第27章 ちゅうだんのしょ
単調なレベル上げを続けていると、マナは「飽きてきた」と訴えはじめた。
「まぁそうよね」リオは頷いた。
ドラクエのレベル上げは地味にキツイものだ。熱意のあるプレイヤーでないと長くは続かない。マナはその領域でないことを、リオはわきまえている。
「ゲーム中毒も良いことではないな」と思い、リオはマナに、しばしのゲーム断食を提案した。「2~3日、テレビゲーム以外のことで、ヒマ潰ししてみれば?」と。マナは、自分にその必要性があると同意した。マナは現実に戻っても、近所のハーブ園に出かけて花の彩りと香りに癒されていた。
マナの離脱中、リオはアリアハン大陸に戻ることにした。1つ試してみたいことがあったのだ。
マナから《刺のムチ》を借りて、MPを消耗せずに戦闘を繰り返そうと思った。攻撃能力のそう強くない《刺のムチ》でも1人で1ターン狩りが出来るように、モンスターの弱いエリアを選ぶ必要がある。だからアリアハン大陸まで戻ったのだ。
MP消費をほとんど必要としないのを良いことに、リオはなんと、宿屋に泊まらず5日5晩戦い続けた(あくまでゲーム内時間における5日間である)!
何が起きたか!?
リオの思惑通りだった。このトガッたプレイにより、リオはレア特性《24時間戦えますか》を獲得した。《眠り》の状態異常への、完全耐性である!《ラリホー》や《甘い息》を喰らっても眠らない、という意味だ。
そしてこの収穫に満足すると、リオもまた3日間のゲーム断食を行った。
その間マナは、一人でのんきなプレイを試みた。敵とはほとんど戦わず、アリアハン城下町やロマリア城やアネイルの町を歩き回って、クエストを探した。あちこちで人助けをして、そして少々のアイテムを手にした。
《まだらくもいと》が2つと、《上やくそう》が3つ。そして《てつのたて》を手に入れた!
マナはそれらの価値があまりわからなかったが、リオに見せると予想外に褒められた!
《まだらくもいと》は、道具として使うと敵1体のすばやさを下げられる。リオが求めていた状態異常手段の1つだ!《上やくそう》はHP50ポイントを一度に回復できる。
そして《てつのたて》は、そこそこのしゅび力強化になるだけでなく、炎や吹雪のダメージを少しだけ減らす特殊効果がある。
町の人々に感謝を言われて嬉しくなり、リオに褒められて嬉しくなった。
『僧侶だけで魔王を倒すには?』