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27 危険区域「レベル4」

  • 執筆者の写真: ・
  • 2023年3月11日
  • 読了時間: 4分

27 危険区域「レベル4」

 日本領事館は、

「1DKのアパートくらい」の広さしか、無かった。

 僕は、「お屋敷丸々」くらいのデカさはあるかと、思ってた…


 …それはどうでもイイんんだけど、

壁という壁には、日本語のポスターや資料が貼ってあり、

大きなテレビではNHKが流れ、

とにかく、この中だけは、日本語で溢れかえっていた!!


 僕は、久しぶりに、

ココロが休まるキモチになった(笑)



 スタッフは、

50歳くらいの貫禄がある男性1人と、若い女性の事務スタッフが2人だった。

 当然、日本人さ。

 男性が、僕の訪問に気付き、対応をしてくれた。


「どうしましたか?

 何か、お困りごとですか?」

 彼は、「団塊世代」の男性の、典型のようなヒトだった。

 中肉中背でがっしりとしていて、スーツとYシャツが、良く似合っていた。

 髪には、少し白髪が混じり始めていて、7:3に分けていた。

 大きなレンズのメガネを掛けていたけれど、

高価なモノであるらしく、瞳が浮き出たりは、していなかった。

 そして、薄汚い格好をした、息子世代の僕に対しても、

とても丁寧で的確な言葉遣いを、した。


「いや、困りごとってコトもナイんですけど…

 カンボジアに行く方法って、教えてもらえたり、しますか??」

「カンボジア!

 お仕事か、何かですか?」

「いや、ただの放浪です(笑)」

「ふーむ。

 カンボジアまでは、飛行機で行くのが一般的ですが…」

「えっと、

 出来れば、飛行機は使わないで、

 陸路で行きたいんですけど…ムリですかねぇ?」

「陸路で!?

 ムリではナイですが…あんまりお勧めは、出来ないなぁ…」

 彼は、眉をひそめて、困惑の表情を浮かべた。


「えー!?通行止めとか、起きてるんですか!?」

「いや、道の異変は、特に聞いてはいないけれど…

 ホラ、この資料を、見てもらえるかな?」

 彼は、敬語が少しくだけてきた。僕がテキトーな礼儀しか使わなかったからだろう(笑)

「どれどれ…」

 彼が僕に見せたのは、

東南アジア周辺の、治安情報に関する、地図資料だった。


「ほら、わかりますか?

 この、カンボジアのところ、ピンクで色付けされているでしょう?」

「はい…。ピンクは、何を示すんですか??」

「危険区域、レベル4なんですよ。

 5段階中の、4番目…。

 『渡航の是非を、再検討して下さい』

 という警告が、出ているんですよ。」

「…えっと、つまり、それって…」

「そう。

 『飛行機か陸路か』の問題以前に、

 出来れば、入国しないほうが良い地域なんですよ。

 で、私は、日本人旅行者の安全を任された身に、あるでしょう?

 …ウカツに、『行ってらっしゃ~い♪』とは、言えなくてねぇ…」

 彼は、頭を掻きながら、苦笑いしていた。


「他の国なら、『レベル4』でも、

 そんなには、懸念しないんですよ。

 けれどね、

 カンボジアは、なにしろ、

 治安問題だけでなく、地雷の問題があるからなぁ…」

「地雷!?」僕は、一気に背筋が凍りついた!

「えぇ、そうですよ。

 聞いたことナイかな?

 以前、カンボジアでは、『ポル・ポト戦争』という内戦があってねぇ。

 …戦争自体は、もう、落ち着いてますよ?

 けれど、その戦争で地面に埋められた地雷が、まだ、国中至るところに残っていてねぇ…」

「地雷かー!!

 地雷って、目印とか、ナイんですよねぇ?」

「あっはっはっは!

 わかりやすい目印があったら、

 犠牲者も少ないし、撤去ももっと早く進んでいるだろうけど…」

「…つまり、

 『防ぎようのナイ危険』ってことですか??」僕は、ゴクっと息を飲んだ。

「まさに、そういうカンジですねぇ。」

「道を歩いてたら、イキナリ、『ドカーン!!』って??」

「イヤイヤ!!そういうことは、ナイんですよ。

 ヒトが行き交う道路や、有名な遺跡は、

 あらかたもう、撤去は済んでいるハズですよ。

 でも、ちょっとでも田舎町に出掛けたりすると、

 いつ何があっても、おかしくナイでしょうなぁ…」

「…するってぇと、とりあえず、

 フツーに歩いて観光する分には、大丈夫なのかぁ。うーん…。」


 僕は、おじさんの話を聞いて、心臓がバクバク高鳴ってきた!!

 以前、テレビで、

地雷によって片足を失ったヒトやなんかの映像を、見たことがある。



僕は、いったん、大きく深呼吸をした。

状況を、冷静に分析してみることにしたんだ。

『冷静さが、何よりも大事だ』

ってことは、何よりも、肝に銘じていた。


「えぇーっと、

 カンボジアの危険レベルが4になったのって、

 最近のことなんですか?たとえば、ここ1ヶ月とか…」

「いや、

 もう、何年も前から、特に変化はしていないですよ。」

「そうか…。

 去年、一昨年に、カンボジアを旅して帰ってきている知人は、何人か、居るからなぁ。

 何年も前から、治安レベルが変わってナイんなら、

 ヤツらが無事、行って帰ってきてるってことは、

 一通りの観光は、ダイジョウブってことだよなぁ。」

 

僕は、もう1回、大きく深呼吸をした。


「よし、決めた!!」



『永遠の楽園』

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