28 ピンコーン!
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- 2023年3月3日
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28 ピンコーン!
…私の苦難は、更に更に更に、尚のこと、続いた…
まぁ、生死に関連するようなものでは、なかったのだけれども。
飛行機が離陸すると、
みんな、ヘッドホンをして、音楽を聞いているようだった。
隣の男の人も、手馴れた手つきでセッティングを済ませていた。
私も、暇つぶしをしたいので、
ヘッドホンをセッティングしようと思うのだけれど、
一体、どこの穴に差し込んで、何を押せば音楽が聞けるか、
サッパリ、解らなかった!
…今思えば、
解らないことは、素直に質問すれば良かったのだけど、
いかんせん私は、恥をかき過ぎていた!
これ以上、恥をかきたくナイので、
自分で何とかしようとするのだけれど、
それがことごとく、裏目裏目に出てしまって、
結果、
更に大きな恥を、上塗りするハメになってしまうのだった…(笑)
そうなのだ。
私は、「少々のことで壊れたりはしないだろう」と踏んで、
テキトーに、ボタンを押した。
…音楽は流れてくれず、
頭上の読書灯が、誇らしげに、光った…(笑)
この朝の早い時間に、読書灯が灯っていたのは、
言わずもがな、私の席だけだった…(笑)
私は、
メゲずに、次のボタンにチャレンジしてみた。
「ピンコーン」
おや?何が音が鳴ったぞ♪
…しかし、それは、
どうにもポップスっぽいものではナイし、
どうも、イヤホンの外から聞こえた気がした…
「…お客様、いかがなさいましたか?」
…さっきのお姉さん!
私は、気まずくてしょうがなかった!
そもそも、
「いかがなさいましたか?」と聞かれても、呼んだ覚えが、無い…
私は、お姉さんの勘違いだと思って、
「いえ、他のお客さんじゃないですか?」
と、自信を持って、言い切った。
お姉さんは、
一旦、頭上のランプをチラっと確認すると、
「…いえ、やはり、
B席であるヒサドミ様のコール・ボタンが、押されておりますが…?」
お姉さんは、起きていることの全てを、理解していたと思う。
…し、予測もしていたことだろう。
必死のプロ根性で、吹き出し笑いしてしまうのを、こらえていた!
「え?ボタン??
あ!コレですか?」
「はい。さようで御座います。そちらをお押しになられると、
私ども客室乗務員が、お席まで伺(うかが)いに参る仕組みでございます。」
「あ!そうだったんですか…!
すみません!
無意識で、ヒジが当っちゃったのかも…。」
お姉さんは、必死で笑いをこらえながら、
「さようでしたか。では、失礼いたします。」
と、丁寧に話し、どこかに戻っていった。
私は実際のところ、
「音楽の聞き方がわからなくて、困っていた」ワケだけれど、
自分からそれを言い出すことは、出来なかった…
『星砂の招待状 -True Love-』



