29 超優秀な「コケシ」
- ・
- 2023年3月11日
- 読了時間: 5分
29 超優秀な「コケシ」
僕は、おじさんに貰った地図を頼りに、その「安宿通り」とやらを、目指した。
20分も歩くと、地図に書かれたのと同じ名前の通りに、出た。
とても賑わいのある通りで、
欧米人が好みそうな、小洒落たカフェが100コもあった。
やがて、「シ○カフェ」と書かれたお店を、見つけた。
それは、外国人旅行者向けの、ツアー会社だった。
壁には、各地の近郊観光地の案内などが、ところ狭しと、貼られていた。
僕は、カウンターの空きを待つ傍ら、
そうした観光案内を眺めて、エラく驚いた!!
・メコン川1Dayツアー 7ドル
な、な、な、ななどるー!?
僕は、行き帰りの送迎代とフェリー代を、
それぞれ、100ドルから40ドルばかしまで値切って、得意満面になっていたというのに…(笑)
…モチロン、
この7ドルには、飲食代などは含まれていないし、
大きなバスに詰め込まれて、超効率的に移動するから、
ロクな自由行動も、出来ないのだけどさ?
…わかるかな?
僕が昨日経験した出来事の、そのほとんどは、
大手会社のバス・ツアーで行っていたなら、経験出来なかったことなんだよ。
「観光」というものを、
「パンフレットに貼られた写真とオンナジものを眺め、撮るものだ」
と定義するなら、キミは、いつだって、
大手会社の催行する超効率的ツアーに参加するほうが、
「有意義」だと、言えるだろうさ♪
けれども、もし、キミが、
「観光」というものを、
「パンフレットに貼られた写真とは違うものを体験し、撮るものだ」
と定義するのであれあば、どんなにコストパフォーマンスに差があっても、
意図的に、バイタクなどを駆使して、個人的に訪れたほうが、イイのさ♪
…コレは、正直、
旅慣れてきても、見極めが難しい(笑)
実際に、その場所に赴いてみないと、
どちらの観光スタイルが最適か、ワカラナイことも、多いさ!!
まぁ、大抵は、
個人的に赴いたほうが、ずーーーっと有意義なんだけど、
時々、「これは、ツアーに参加しても良かったなぁ。お金のムダだったなぁ。」
と感じちゃうモノも、あるには、ある…。
でも、「旅人」のキホンは、
いつでも、
超効率的なツアーに参加する前に、
自力で、公共機関を乗り継いで行ける方法がナイかどうか、
リサーチしてみることだよ♪
たいていは、「地○の歩き方」みたいなガイドブックなら、
公共機関を使った行き方が、書いてあるしね♪
20分も待っていると、
僕も、カウンターに付くことが出来た。
僕を担当してくれたのは、
コケシみたいな髪型をした、とても利発そうなベトナム人女性だった。
「いかがなさいました?」
彼女は、とても流暢な英語と知性ある笑顔で、
僕の目を、真っ直ぐにのぞき込んだ。
「カンボジアまで、飛行機を使わずに行きたいのだけど…」
僕は、知っている英語を駆使して、シンプルに答えた。
彼女は、
非常に大局的な視点を持った、優秀なコンサルタントだった!!
「えーっと、
その前にまず、あなたの目的は?アンコールワットの観光?
滞在予定の日数と、手持ちの予算は?
ベトナムに戻ってくる予定は、あるの?」
…厳密には、こんなにいっぺんにまくし立てたワケじゃなく、
僕の答えを踏まえながら、
1つ1つ、ゆっくりと、メモを取りながら、確認してくれた♪
ハッキリ言おう!!
ココで対応してくれたのが、彼女で無かったなら、
僕の今回の旅は、あんまり上手くいかなかったと思う!!
それくらい、彼女は、
優秀なシゴトをやってのけてくれたんだ♪
…どういうことかって言うと、
僕はあんまりにも、カンボジアやアンコール遺跡や、
その他諸々の情報が、無さ過ぎた(笑)
加えて、英語が稚拙だった(笑)
僕は、「いつ」とか「何日間」とか、「どこからどこまで」とか、
そういうことを的確に伝えるのに、とても手間取ってしまった。
それでも、彼女は、
イヤな顔一つせずに、
忍耐強く、僕の相談に付き合ってくれた!!
…それだけじゃ、ナイんだよ?
僕は、アンコールワットの観光は、1日もあれば充分だと、思い込んでいたんだよ。
彼女は、大笑いしなが言った。
「1日じゃ、とてもじゃないけど、ムリよ(笑)
最低でも丸2日…あなたみたいな遺跡目的の探検家なら、
丸3日は確保しておいても、絶対、ソンはナイと思うわ!
アンコールワットって、それくらい、素晴らしいところよ♪」
僕の全日程は、10日間だった。
帰りの飛行機はベトナムから発つものなので、再び、この街に戻ってくる必要も、あった。
すると、7日間は、カンボジアに居られそうだと思った。
けれども、彼女は、
「あなたにとって、今回が初の海外放浪であるならば、
念のために、1日の予備日を確保しておいたほうが良いわ!」
と、教えてくれた。
この辺だと特に、長距離バスが、洪水などで通行止めになったりして、
思わぬ立ち往生を喰らう可能性も、少なく無いようだった。
彼女は、僕の日数の少なさから考えると、
やはり、バスより飛行機のほうが良いのではないか、と、言った。
なぜなら、
このホーチミンからカンボジアの国境を越えるのに丸1日かかり、
そこから、アンコール遺跡群のあるシェムリアップまでは、
更に、丸1日近く見ておいたほうが良いからだった!!
「…つまり、
陸路で往復するだけで、4日間も使っちゃうの!?」
「そういうことになるわ。」
僕は、サスガにそれは、空しいと思った…。
憧れのアンコールワットを、たくさん探検したかったから…!!
…かと言って、
飛行機でポンと飛んでしまうのは、あんまりにも、味気なさ過ぎる…。
僕は、しばらく考え込んで、ハっと閃いた!!
ダメ元で、提案してみた。
「あの…
『行きはバスで行って、帰りは飛行機で戻ってくる』
なんてのは、出来ないかなぁ?」
「あら、あなた、クレバーね♪
そのように手配することも、可能よ♪
それなら、陸路移動のスリルも味わえるし、
移動時間の短縮も、出来るわね♪」
「うわーい!やったぁ♪♪」
不可能なように思える状況も、
慌てず、諦めず、冷静にアタマを使うと、
何かしら、解決の糸口ってのが、あるモンさ♪
…それにしたって、
カンボジアからベトナムに戻ってくるための飛行機代・100ドルほどは、
予算が4万しかナイ僕には、あんまりにも、痛すぎた。
僕は仕方なく、
保険の意味合いで持ってきていた親父のクレジットカードで、
帰りの飛行機代だけは、支払うことにした。
僕は、今からすぐにでも、カンボジアに出発したかったけれど、
あいにくバスは、早朝にしか、出ていないらしかった…
仕方なく、僕は、
この近辺でヒマ潰しをして、宿を取ることにした。
僕は、コケシのお姉さんに100遍もお礼を言って、
快く、店を後にした。
『永遠の楽園』



