33 シンクロ
33 シンクロ
…まだまだ色々、
話したいことや聞きたいことがあったのに、
無情にも、
飛行機は、石垣空港に到着してしまった!
すでに、他の乗客たちは、
荷物を棚から下ろし、搭乗口から降りだしていた。
私は、
彼の話を、…これまでに無いってくらいに…
熱心に聴いていた。
…ので、シートベルトも外さずに、座席で固まっていた。
「…えっと、
キミが立ってくれないと、僕、出られないんだけど…(笑)」
「あー!ごめんなさいごめんなさい!」
私は、あわてて座席から立ち上がり、通路側に避(よ)けた。
「…それと、
良かったら、上の棚から僕のリュック、取ってもらってイイ?
緑色のヤツなんだけど…」
「あ、はい!」
私は、あわてて彼の要望に応じた。
上の荷物棚のドアはもう開いていたので、
あとは、背伸びしてリュックを取り出すだけだった。
手だけを棚に突っ込んで、ガサゴソと探る。すぐ見つかった。
「これかな?」
グイっとリュックを引き寄せて、私はびっくり仰天した…
この緑のリュックは、
さっき空港で、行こうか帰ろうか迷っていた私の耳元で、
「だいじょぉぉーぶぅ、だいじょぉぉーぶぅ、
それはぁ、魔法のコトバぁ♪」
と歌っていた人のそれと、オンナジだったのだ…!!
彼は、あ然としている私に、
降機すべきことを身振りで促しつつ、「どうしたの?」と尋ねた。
私は歩き出しながら、コトのてん末を、説明した。
「あははははは!
そういうのは、旅をしてる時には、しょっちゅう起こるよ♪
『シンクロ』っていうんだよね♪シンクロニシティ。」
「そうなんですかー!?」
「うん。ホンっっっトに、しょっちゅうある(笑)
大抵、その人と出会ったことは、ものすごく、イミがあるよ♪
…ラブロマンスとか、そういうことじゃナイよ?
何か、絶対絶命のピンチで助けてもらったり、
ものスゴい大切なこと、気付かせてもらったり…」
…まさに、ドンピシャだった!!
絶体絶命のピンチに救われ、
ものスゴい大切なことを、気付かせてもらった…!!
…ついでにラブロマンスまで加えてもらっても、
私としては大歓迎なのだけど…(笑)
彼は、空港の通路を、
私と話しながら、寄り添い歩いてくれていたけれど、
私は、いつ彼が、
「じゃぁ、これで」と別れを切り出すか、気が気じゃ無かった!
…ラブロマンスに発展しないにしても、
どうやら、もう少し、
旅を助けてもらう必要があった。
彼は、私の心配をよそに、
空港の玄関を出ても尚、私の横に居てくれていた。
…というか、
私は右も左も解らないので、
彼に着いていくしか、なかった(笑)
彼は、空港の玄関を出ると、
すぐ目の前のバス停に、並んだ。私も、並んだ。
バス停で一息着いて、2人の陣形が崩れ、
ようやく、
彼の顔を、まともに拝むことが出来た。
…また、ビックリした…!!
なんと、彼は、
私のクラスの会長さんに、ソックリだった!!
細身で背が高いのも、顔も、笑い方まで、良く似ていた!
…会長さんのこと、覚えておられるだろうか?
クラス会長決めをした時、
誰も立候補者が居らず、
「決まるまで、オマエら、帰れないからな!」
と、担任が突きつけた挑戦状を、
「じゃぁ、僕、やります」の一言であっさり無効化してしまった、
あの、救世主な彼だ!
私は彼に、その事実をも、告げた。
「あははは!そうなんだー?
まぁ、『世界には、ソックリさんが3人居る』なんて、言うもんねぇ♪」
バスは、すぐに来た。
バスに乗り込んでも尚、会話を続けた。
私は、彼に名前を尋ねた。…ようやく尋ねることができた(笑)
彼は、博之という名前だった。ヒロさんと呼ぶことにした。
私も彼も、名前に「ユキ」が含まれている…
これも、何かの縁なのだろうか?考え過ぎだろうか!?
…その答えは、後々、判明するのだけれど…
『星砂の招待状 -True Love-』


