34 ヴァーチャル・デート
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- 2023年3月3日
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34 ヴァーチャル・デート
バスは、20分ほども郊外を走ると、
終点の、石垣市中心街に到着した。
バスの中でも、ずっと話に夢中だったので、
私は、せっかく訪れた石垣島の景色を、ほとんど見過ごした(笑)
サトウキビ畑がそこかしこに広がっていたことだけは、
かろうじて、記憶に残っている…
バスを降りると、とてつもなく、暑かった!
…思えば、
空港の玄関から一歩踏み出した瞬間も、同じように、
5月の千葉とは掛け離れた熱気を感じたけれども、
あの時は話に夢中で、
気候だの風景だのという、
いわゆる「風情」に浸っている余裕は、無かった(笑)
…私は、ヒロさんの、
「男性的魅力」に、引きこまれているのだろうか?
それとも、
「人間的魅力」に、引き込まれているのだろうか?
…多分、両方だったろうと思う。
「さて…」
と、バスから降りたヒロさんは、言った。
私は、
彼が別れを切り出す前に、もう少し話す時間をもらいたくて、
先に、切り出した。
「あのぅ…、
竹富島への行き方とか、教えてもらいたくて、
それに、お腹減ってきちゃったし、
一緒にご飯でも食べれたらイイなって、思うんですけど…
ヒロさんは、忙しいんですか?」
「えーっと、
僕は今日は、石垣のゲストハウスに泊まる予定だから、
時間にゆとりは、あるよ♪
お腹空いたし、ご飯にしようかねぇ。
ゆっこちゃん、何が食べたい?」
「えーっと、
…何屋さんがあるんだろう…(笑)
お任せしちゃっても、イイですか?」
「…じゃぁ、ニガテな食べ物は?
ゴーヤとかニガいけど、食べれる?」
「うーん、多分、だいじょうぶ…。
豚足?ミミガー?ああいうのは、ニガテかも…。」
「あー!ブタ系は僕も食えないから、だいじょうぶ(笑)
…でも、この辺、
居酒屋ばっかり多くて、
ロクな食い物屋、ナイんだよなぁ…
その辺のフツウの沖縄食堂で、イイかな?
それなら、そばでもチャンプルーでも、食べさしてくれるから♪」
「はい!それでイイです♪」
彼は、「3分くらい歩くよ?」と言うと、
どこか、目当ての店を目指して、歩き始めた。
私は、男の人と歩くとき、
その人の「後ろ」に着いてしまうクセがあった。
…つまり、
「男性は、女性である自分よりも偉い」
と、無意識的に考えているらしかった。
けれども、ヒロさんは、
「私を率いて、前を歩く」ということを、嫌がった。
すると、
私が彼の後ろに回ろうとして、速度を緩めると、
彼もまた、私の前に出ないように、速度を緩めるのだった…。
…コレだと、どんどん歩く速度が遅くなるので、
ヒロさんは、たまりかねたように、口を開いた。
「あはははは!
初めての街で怖いカモしんないけど、
出来れば、僕の後ろじゃなくて、横を歩いてもらえないかなぁ?
道が狭いときは、しょうがナイけどさ?」
「あ、はい!」
「…んで、
そんなにかしこまんなくて、イイよ(笑)タメ語でイイよ。
僕は、『年長者が年下よりも偉い』とは思ってナイし、
もちろん、
『男性が女性よりも偉い』とも、思ってナイからさ?」
「あ、はい!わかりましたぁ!」
「…だからぁ(笑)」
『星砂の招待状 -True Love-』



