エピソード123 『天空の城』
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- 2024年7月22日
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エピソード123
大きな教会は街の奥のほうにあった。
教会も、芸術を誇示するというよりは重厚な雰囲気を放つ祈りの場という感じだ。
老「勇者様勇者様、どうか我が民をお救いくださいまし!」
しわしわの老婆が、懸命に手をすり合わせて祈っている。
祭壇を見やる。メシア像か・・・と思いきや、男ではあるが他でよく見るメシアとは違う。ひょっとすると勇者の像か。
さっきの老婆は、勇者を神と崇め、救済を求めていたのだ。
神「清く正しく生きるのです。さすれば勇者様が守ってくれるでしょう」
懺悔台では神父が、民に説法を説いている。その内容もやはり、「祈れば勇者様が救ってくれる」という内容のものであるようだった。
れいはすがる宗教が好きではない。神父に話を聞くのはやめて、すぐに教会を出た。
教会の近くに、「聖水屋」という看板を出す店を見つけた。随分古ぼけており、相当昔からあるのだろうか。聖水は多くの道具屋で売られているが、その専門店とは珍しい。れいは興味を引かれ、覗いてみる。
聖「おぉ、迷える子羊よ!もう大丈夫です」
なんと、《聖水》に1つ250ゴールドもの値段が付いている。普通の《聖水》の10倍だ。
れ「ここの《聖水》は、何か特殊なのですか?」
聖「当然です!古き勇者様の波動が転写された、波動水の《聖水》です。
これにより、魔物を寄せ付けなくなるのです!
何かと物騒になり、魔物が強くなってきた昨今、この《聖水》はまさしく救いの神です!」
れ「え?でも普通の《聖水》も、魔物を寄せ付けない効果がありますよね」
聖「それだけではありません!
万が一ドラキーに襲われた場合、この《聖水》を敵に振りかければ、撃退することも出来ます!
ですから魔除け用に1つ、そして撃退用に1つ、2つセットで購入されるのがお勧めですよ」
れ「ドラキーだけじゃなく、ウインドマージなどの強い魔物も一撃で倒せるのですか?」
聖「いやそういうわけにはいかん。世の中に万能を求めてはいかんよ。バチが当たる」
れ「これ、普通の《聖水》と同じではないのですか?容器を入れ替えただけのような・・・」
聖「勇者様の波動が転写された、ありがたい《聖水》なのです!
世界広しといえども、ラダトームでしか買うことが出来ませんぞ!
勇者様の波動水を悪く言うと、バチが当たりますぞ!」
れ「あ、はぁ」
れいは尋問も止めて店を出た。要するに、カルト商売なのである。「カルト商売」という言葉をれいは知らないが、救われたい気持ちに付け入る悪徳商売をしているのだということは、察せられたのだった。
なんだこの街は?遠い昔に勇者を排出したという割りに、街の建物が歴史深く重厚である割りに・・・。
お城に行ってみるか。この奇妙な国の内情が、よく見えるのではなかろうか。
城は城下町から少し離れている。ルマの吸血鬼の館ほど遠くはない。



