top of page

エピソード133『世界樹 -妖精さんを仲間にするには?-』

  • 2024年5月2日
  • 読了時間: 5分

更新日:4月30日

エピソード133


しばらく歩くと一行は、海辺にキャンプを張った。

出来るだけ海に近いところで、何かに遭遇するのを待つしかない。

風が強いのでキャンプには少々厳しいが、不平を言っている場合ではないのだ。

馬車の幌を風上に上手く立てながら、一行は風の寒さをしのいだ。


夜。何か起きないか偵察を兼ねながら、アミンは海と空を眺める。

星屑はあちこちでキラキラと瞬き、本当に今にも落ちてきそうだ。

外灯などまるでないのに、海辺は意外と明るかった。

「そうか。お月様が大きいからだ」アミンは気づいた。

月は満月から少し欠けた程度で、かなりの光量を誇っていた。

夜でも少しは偵察が出来そうだな、と思った。

待っているより動くほうが好きなアミンは、3人に一言告げると、浜辺を少し歩きだした。


すると・・・


なんと、波打ち際に人らしき姿が倒れている!

アミンは全速力で駆け寄った。

人・・・?じゃない!下半身はヒレである。人魚だ!

人魚のエル(仮設定)by生成AI 『世界樹 -妖精さんを仲間にするには?-』
人魚のエル(仮設定)by生成AI

しかし珍しい生き物に興奮している場合ではない!

ア「おい!大丈夫か!息はあるか!」アミンは人魚の体を揺すった。

人「あ・・・あ・・・」人魚はかすかに声を漏らした。

やがてうっすらと半目を開ける。

ア「良かった!生きてる!」

人「あ・・・お・・・

 おとこの・・・ひと・・・

 ごめんなさい・・・男の人とは・・・話せま・・・」

ア「!?」この緊急時に何を言っているのか、わけがわからなかったが、アミンは仲間たちを呼びに戻った!


4人はすぐに駆け戻ってくる!

な「うわー、ホントに人魚さん!!」しかし感動している場合ではない。

ゆ「大丈夫ですか?女が来ました!」

キキは人魚の体を見渡した。倒れている原因は何だ?

手にウニのような丸いトゲトゲを持っている!

キ「まさか、毒殺!?

 今助けるわ!」

人「あ・・・あ・・・助けないでください・・・

 死にたいのです・・・」

キ「ダメ!!!」

キキは解毒の魔法《キアリー》を唱えた!

キ「アミン!毒消し草の類と馬車を持ってきて!」

アミンは馬車へ駆け戻った!


キキの解毒により、人魚は意識を取り戻した。

焚き火を起こし、温かいものを飲ませる。

キキは慎重に言葉を選んだ。

キ「ごめんなさい。死にたいって言ってるのに。

 でもね、死にかけの人を放っておくことはできないの♪」

人「・・・・・・」

な「人魚さん、お名前は?わたしはなな♪」

エ「私の名前は、エル」

ゆ「どうして死のうとしたの?」

エ「・・・・・・。

 私は、人間に恋をしました。

 コスタールという街の、太陽堂という道具屋の若者です」

ア「人魚なのに、あんな遠くまで行けるのか?」

エ「いいえ、彼がこちらまで来たのです。

 商売のためにクレージュまで訪れ、そのついでに海まで来たようでした。

 私たち人魚は、人間と交流してはいけません。

 しかし私は、不意にこの海岸で彼に見つかってしまったのです」

ア「ふむ」

エ「『人間は怖い生き物だ!』と母たちからは教わっていました。

 しかし彼はまったく怖い生き物ではありませんでした。

 優しく私に微笑み、『可愛いね』と言ってくれました。

 私はその笑顔に惹かれてしまったのです。

 ・・・・・・。

 私と彼の交流を、母に見られてしまいました。

 母は私を海へ連れ戻すと、ものすごい剣幕で起こりました。

 『彼は怖い人じゃなかった』と言っても、信じてくれません。

 『それに、私は彼の笑顔がもっと欲しくなった』と言ったら・・・

 母はもっともっと怒ったのです!

 人魚は人間の男に恋をしてはいけない、という掟は知っていたつもりでした。

 でも、こんなにも怒られるとは想像してもいませんでした。

 そして、好きになった人と再び会うことすら許されないとわかったとき・・・

 私はもう、生きている価値を感じられなくなってしまったのです」

な「エルちゃんのママ、ケチだねぇ!」ななはエルの肩を持った。


しかし・・・

キ「とても言いづらいけど・・・

 この件については、ママのほうが正解だわ・・・」

エ「えぇ!?」

キ「あなたは、運が良かった。

 わたしたちも、運が良かった。

 相手がどこの馬の骨かわからなかったら、解決の難しい問題だったわ」

ゆ「どこの馬の骨か、わからなくない?」

キ「ううん。エルちゃんさっき、『太陽堂という道具屋』って言ったわ。

 その名前に記憶がある。

ア「ホントか?」

キ「えぇ。コスタールの路地裏で倒れてた冒険者さん。

 道具屋と押し問答したって言ってたでしょ?

 その道具屋の名前が、太陽堂だったわ」

ゆ「そうだったかも・・・!」

キキはエルに近寄った。

キ「エルちゃん。ちょっと目を閉じて?」

キキはエルの両のこめかみに両手を添えた」

キ「今、見せてあげる」

キキは、キキたちが例の冒険者と会話したときの様子を、霊視でエルに視せた。

 そしてエルはさらに、その冒険者が道具屋と押し問答したときの様子も、視ることが出来た」

キ「・・・・・・どう?

  彼は善い人だった?」

エ「わたしに見せた顔とは、まるで別人のようです」

キ「そうなの。人間ってそんなふうに、表情や言葉を使い分けるの。

 特に男は女に対して、善い人のようなフリをするのよ。

 商売人も、善い人のようなフリをするの。

 それに、『可愛いね』は優しさですらないの。なんていうか・・・難しいけど」

エ「・・・・・・。

 醒めました。

 ありがとう」

キ「わかってくれた?」キキは嬉しそうに微笑んだ。

ゆ「ホントにこんなすぐ、納得できたのかしら?」

人魚のエルこんな感じ(仮設定)『世界樹 -妖精さんを仲間にするには?-』
人魚のエルこんな感じ(仮設定) by生成AI

※もし露わな乳房を描く必要がある場合、乳首を描かないで。肌色の胸のふくらみがあるだけ。他の人魚も同様。

bottom of page