エピソード148『世界樹 -妖精さんを仲間にするには?-』
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- 2024年5月2日
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エピソード148
屋上の隅に大天使は倒れている。
散り散りになった天使たちは再び集まってきて、遠巻きに、心配そうに主人の様子を伺っている。しかしこの戦場に近づくことは出来ないでいる。
な「やっつけたぁ!」ドレス姿の女は声色を大きく変えて、倒れた敵のそばに駆け寄った。
ア「はぁ、はぁ、はぁ・・・」アミンは警戒を解かず、倒れた大天使を見つめている。
キキも倒れた大天使に駆け寄る。
じっと様子を見ている。
キ「・・・・・・。
消滅して宝石に変化・・・しない・・・?
やっぱりこの人・・・」
ゆ「魔物じゃなかったんだわ!!!」
ア「えぇぇー!!??」
大「う・・・あ・・・」
キ「あなた、本当の大天使だったのね」キキは努めて冷静に言った。
大「あ・・・あぁ・・・」
キ「悪を討つために、ここに偵察に来ただけだった」
大「あぁ・・・そうだ・・・」
一行は顔面蒼白になった!!
な「ごめんなさい!ごめんなさい!」
ななは大天使の体に抱き着いて泣きすさんだ!
キ「ごめんなさい。
わたしはわたしで、こうするしかなかったもので」
すると、大天使は目を閉じつつも穏やかな顔で言った。
大「よ、よい・・・よいのだ・・・。
誰も・・・この出来事を・・・悲しんでは・・・いけない・・・」
な・ゆ・ア「えぇ!?」
大「私の役目は・・・強大な悪を討つこと。
私よりも強い善が・・・居るなら、私は・・・居なくとも問題はない・・・」
一行「・・・!!!」
大「天使たちよ。
聞こえるか・・・?天使たちよ・・・」
無数の天使たちは慌てふためくように主人に注視した。
大「天使たちよ。
これからは・・・この者たちに・・・着き従いな・・・さい。
いや、戦わな・・・くてよい。姿も見せなくて・・・よい。
とにかくこの者たちが・・・そなた・・・らの・・・主人だ。
大丈夫、私の代わりに・・・そなたらを守ってくれる」
天使たちはおろおろしている・・・。
な「ちょっと待って!
《ホイミ》だって世界樹の葉っぱだってあるよ!!」
ななは大天使を治癒しようとした。
大「よいのだ。もう致命傷。回復は叶わぬ。
よい・・・のだ・・・。
これで・・・よいのだ・・・」
大天使の体はそれで動かなくなってしまった。
な「うぅ・・・」
すると!無数の赤ちゃん天使たちは、慌てふためきながら主人に駆け寄った!
皆でチカラを合わせて大天使を担ぎ上げる!大天使の体が少しずつふわふわと宙に浮かび上がった。
天使たちは皆、何かのエネルギーを夢中で主人に送り込む!大天使の体は黄色くまぶしく光輝いた!
まぶしさが臨界点に達すると・・・なんと、大天使の体は消えてしまった!
そして無数の天使たちは、体を光のボディに戻し、そして皆、キキの背後へと静かに就いた。皆、光の姿さえも見えなくなった。
キキが耳を澄ましている。
キ「うん・・・うん・・・。そうなのね!」
な「何が起きたの!?」
キ「ウリエルさんは・・・彼は、死んでないみたい!
どこか安全なところに転移されたらしいわ!
天使たちはまだ回復魔法なんか使えないけど、とにかく何とかしようとエネルギーを送り続けたら、そのプラーナを使って誰か偉い人が配慮をしたみたい。ルビスか誰かでしょうね」
な・ゆ・ア「良かったー!!!」
一行は満面の笑みで微笑んだ!
しかし、事態は解決ではなかった!