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エピソード16『世界樹 -妖精さんを仲間にするには?-』

  • 執筆者の写真: ・
  • 2024年8月1日
  • 読了時間: 4分

エピソード16


ア「慌てないで!よく見て!」

な・ゆ・ハ「え???」

ア「あはは。鎧の騎士・・・の抜け殻だよ」

ハ「ぬけがらぁ?」

ア「そう。これは戦士の抜け殻。まぁ、カカシみたいなもんだな」

ゆ「カカシ?まったく状況が掴めないわ」

ア「ここは昔、ノビスの人が戦いの稽古をする修行場だったんだ」

ハ「儀式じゃなくて、稽古場か」

ア「そう。もっとさかのぼって言えば・・・

 ノビスの里が《やくそう》で栄えるようになったのは、この里のドワーフたちがあまり魔法が得意じゃなくて、肉弾戦での防衛を選んだからなんだ。魔法が得意じゃないから、強力な《やくそう》が必要になったんだね。

 里の一番の英雄がここに稽古場を作って、彼の監督のもとでドワーフたちが稽古してた。

 やがてその英雄は死んじゃったけど、魔物を威嚇するために彼の鎧を見張りのように立てたんだよ」

ハ「だからこんなにボロボロなのか」

ア「もう何十年も経つんじゃないかな」

な「すごぉーい!」

ア「カカシでもあり、『彼のように強くなりたい』っていう発奮材料でもあったんだろうね」


ハ「・・・つまり、この鎧はもう誰も使ってないんだな?」

ア「え?」

ハヤトは英雄の鎧に近づいていくと、鉄仮面を取り外そうとした!

ゆ「や、やめなさいよ!!」

な「呪われちゃうよぉー!」

しかし・・・

ハ「お、お、おもい・・・!!!」

鉄仮面は持ち上がらなかった!

ア「あははははは!」

ハ「なんだこれ!魔法が掛けられてたりすんのか?」

ア「いいや、別に普通の鎧だよ。

 鎧って、重いんだ。

 重装備してる戦士って、下っ端の部隊にいたって強いんだよ。何十キロもの鎧着て走ってるだけで、常人から見れば考えられないくらい強い」

ゆ「そうなんだ!鎧がそんな重いものだなんて、考えたこともなかったわ」

な「すごぉーい!」

ア「ハヤトは知ってたよな。ロープレばっかりやってんだから」

ハ「あ、いや、あぁ・・・、もちろんさ!」

ハヤトは、自分がいかに内弁慶ならぬ「ゲーム弁慶」だったかを、痛いほど思い知った!ゲーム内で強いことが、現実でどれほど役に立たないかを・・・。

ア「鉄仮面で20kgくらいかな。一番軽いコテでも3kgくらいはあるだろね」

ゆ「手のやつだけで、コーラのペットボトル2本分!?」

な「コテで3kgかぁー」


ア「さてと、そろそろ引き返そうか。お金も50ゴールドくらい貯まったし、帰り道に出る魔物で必要なぶんは稼げそうだよ」

アミンはそう言ったが、来た道を引き返そうとはしなかった。英雄の鎧を通りすぎ、そこから曲がっていこうとした。行く手はたくさんのイバラに覆われて、歩きにくそうだ。

ハ「おい!なんでそっちに行くんだ?」

ア「いやぁ、僕の魔力ももう少ないから、くびながイタチにあまり遭遇したくないんだよね。だから道を変えようと思ったんだ。

 こっちはあぜ道でイバラがいっぱいあるんだけどさ、ハヤト、君がその剣でなぎ払って道を造ってくれないか?」

ハ「えぇー!めんどくせぇこと言いやがるな!」

ア「イバラなら倒せるだろ?草すら倒せないのか?」

ハ「倒せるさ!」ハヤトはムキになった。

そしてハヤトにとって、剣をビシビシと振りながら歩くのは結構楽しいのだった。


イバラの道を通りはじめた、その時だ!

ガサガサ!

きりかぶおばけがあらわれた!

きりかぶおばけ
きりかぶおばけ

文字通り、切り株に命が宿った魔物だ。手のような枝を伸ばし、わさわさと威嚇してくる!

ハ「なんかまた新しいのが出たぞ!」

ア「《メラ》!」アミンは率先して魔物にメラを撃ちこんだ!

ボゥン!しかし一撃ではきりかぶおばけをやっつけられない!

な「ハヤト、がんばってぇー!」

ハ「言われなくても!」とハヤトは飛び掛かっていった!

ペキ!

ミス!しかし木の剣で殴っても木の魔物はダメージを受けない!

ハ「なにぃ!」ハヤトはひるんだ!

き「がははっ!」きりかぶおばけは不敵な笑みを浮かべて反撃してきた!

ア「ハヤト、まだおまえの出番だ!」

きりかぶおばけは枝の触手でわさわさとゆなに殴りかかろうとした!

しかしハヤトはまごまごしている!

ゆなは小さなサバイバルナイフを構え、しかしどうしていいかわからない!

バサバサ!きりかぶおばけはゆなに殴りかかった!

ゆ「キャァ!」ゆなは殴り飛ばされた!

き「げへへ」きりかぶおばけはなおもゆなに襲い掛かってくる!

ア「ハヤト!」

ハ「うるせぇ!」

ハヤトは役割を察した!イバラをなぎ払うように、枝の触手の攻撃をなぎ払うなら長い棒が向いている。

ガシャ!

ハ「く、食い止めたぞ!アミン、早くトドメを刺せ!」

ア「わかってる!《メラ》!」

しかし、なにもおこらなかった!

ア「ヤバい!僕はもうガス欠だぁ!」

ハ「なんだとぉ!?」

ゆなは死に物狂いでサバイバルナイフを振り回した!

しかし枝の先端を少し削いだだけだった!

きりかぶおばけはビンタのように触手を振りかざした!

バシ!ハヤトはなぎ倒された!

ハ「どおすんだよこれ!」

ア「ヤバい・・・!!」


そのときだ!


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