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エピソード164 『天空の城』

  • 執筆者の写真: ・
  • 2024年7月22日
  • 読了時間: 2分

エピソード164


れいは段々宝箱などどうでもよくなってきたが、《はやぶさの剣》を見つけ出すという使命感がある。するとやはり、丁寧に宝箱を開け続けなければならないのだった。遠回りを繰り返しながら。

必然的に、洞窟探索というのは非常に長期戦になる。「戦い続けるための無尽蔵の体力や魔力が必要だ」とデイジーなどに言われ続けてきたが、洞窟の中で最も痛感するのだった。ダンジョンというのは、その見た目以上に長丁場になるのだ。


さらに。さらにだ。

洞窟は、妙なところで行き止まりにぶち当たる。「あれ?道を間違えたかしら?」と他の分かれ道に戻ってみても、そちらもやはり袋小路だ。何度も袋小路を往復して、行き止まりであることを確信する。こんなところで終わるはずがないが・・・。

れいは行き止まりの壁に耳を当て、耳を澄ませる。

すると、向こうからかすかに、ぴちょんぴちょんと音がする。

この先に空間があるはずだ!

れいは行き止まりの壁に《メラミ》を当ててみる。ボボーン!壁が崩れ落ちる。

そして向こうへと繋がっているのだった。

壁の向こうには小さな吹き溜まりがあった。自然の溜め池のようなものがあり、天井の岩のツララから水がぴちょんぴちょんと垂れている。

れいは溜め池の水をすくってみる。透明に見える。匂いをかいでみる。臭くはない。舐めてみる。不味くはない。

飲んでみる。飲めるような気がする。

要するに、自然が作った休憩スポットであるようだ。それは仕掛け人によって隠されていた!


「行き止まりが人工の可能性がある」とわかると、それからまた幾つも怪しい行き止まりがあるのだった。《メラミ》をぶつけたり、ツルハシで掘ってみたりしてトラップを取り除く。ときには細い道を、頭蓋骨が大量に積み重なって塞いでいる!気持ち悪くて仕方ないが、ここで断念するわけにもいかない!

れいは顔をしかめながら、大量の頭蓋骨を取り払う。そして先に進むと、そこには何もなかったりする!!すさまじい精神ダメージだ!!


れいはこれまで、ダンジョンというものにあまり侵入してこなかった。様々な冒険者たちとの会話の中で、世界にはたくさんのダンジョンがあることは見聞きした。ファンタジーの中にもそういうものが書かれてもいた。れい自身は、ダンジョンにはあまり興味がなかった。ダンジョンの攻略はこんなにも大変なものなのかと、こんな地底の果てで思い知るのだった。もう少し、難易度の低いものを幾つか体験してきたほうが良かったのかもな、と少し後悔した。

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