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エピソード174 『天空の城』

  • 執筆者の写真: ・
  • 2024年7月22日
  • 読了時間: 2分

更新日:7月30日

エピソード174


町「れいと言ったか。

 そなたは、村を出て今何をしているかわかっているか?」

れ「私は、旅をしているのです」

町「そうじゃがな。

 旅をするとは、どういうことかわかるか?」

れ「うーん。それは私にとって、娯楽のようなものです。

 それと、本を読むことにも似ています」

町「そうじゃな。知識や気づきを得ること。

 様々な国を見て、様々な話を聞き、旅人は視野を広げる。

 『長とはどうあるべきか』、それをあちこちの町で考えるじゃろう。

 あっちの国のやり方とこっちの国のやり方と、旅人はたくさん知ることになる。

 それを混ぜ合わせて、一番新しいものを作りだす。

 そうして人類は、進化していく。

 旅した者たちが視野を広げて、人類を進化させていく」



老人はふーと大きく息を吐いた。

町「リッカよ。れいさんに町を案内してあげなさい。

 そして寝床を用意してあげなさい」

リ「はい!」

『天空の城』 リッカ
リッカ

町「今日だけとは言わん。数日滞在するぶんには問題ないじゃろう」

れ「ありがとうございます」

町「れいさん。そなたにも頼みがある。

 リッカに、色々と語ってやってくださらんか」

れ「私には、人に語れるようなことは何もありません」

町「なぁに、旅の楽しかったことを聞かせてやればええ。

 頼んだぞ。ほっほっほ」


れいはリッカの案内のもと、世にも珍しい地底都市を散策して周った。

リッカはれいに、世界の様々な物事を聞かせてもらった。

れいはお言葉に甘えて、この町に数日間滞在した。



次はどこに行こうかな、という話をしていると、リッカから「虹色の鳥がたくさん住む町があるらしい」という話を聞いた。それは興味深い!さらに内陸のさらに南。れいは一人、東の大陸の中枢へと繰り出していった。


野宿には慣れてきたれいだが、やはり町の中で休息を挟めると安心するのだった。「私のサバイバル能力もまだまだだな」と痛感する反面、人は互いに旅をするために、ところどころに町を設けて助け合っているような気にもなるのだった。そして人は、自分らの文化をコッテリと楽しむことによって、異邦人に観光資源を提供している。

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