エピソード18『世界樹 -妖精さんを仲間にするには?-』
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- 2024年5月1日
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エピソード18
な「ア、アミンー!!」
ななはアミンに抱き着いた!
ア「えへへ。ななのマネっこしてみたんだ」
アミンは皆に、体の割にずいぶん大きい、《錆びついた剣》をかざして見せた。
さっきの英雄の剣を、取りに戻ったのだった。
な「こんな重たい剣、アミン振り回せるの?」
ア「ドワーフは、魔法を使うだけじゃないさ。DIYするからね。体だって鍛えてる。
剣はあまり好かないけど、打撃戦だってこなせるよ」
ゆ「すごいわ・・・!」
ア「えへへ。すごいってこともないんだよ。
そういう場所で生まれたら、そういう教育も受けるってモンさ」
アミンは涼し気に言った。
ア「でも君らもちょっとは戦えるようになったんじゃない?」
な「ちょ、ちょっとはね(汗)」
ゆ「とにかく里に戻らなくちゃ」
旅って大変だ。
ア「さぁハヤト、もうちょっとイバラをなぎ払って切り拓いておくれよ」
ハ「えぇ?おまえが剣振れるならおまえがやれよ?」
ア「やってもいいけど?でもハヤトがやれよ」
ハ「あぁ!?」
な「アミンは、ハヤトがきらいなの?」
ア「あぁ、嫌いさ。性格悪いもん」
ハ「てめぇこのやろ!」
ゆ「ちょっと、落ち着いて!」
ア「嫌いだけど・・・
いじめてるつもりはないよ」
な「え?」
ア「僕がやったっていいけどさ?
ハヤト・・・
このままだと、足手まといになるよ?」
ハ「・・・!」
な・ゆ「・・・!」
ハ「てめぇ・・・!」ハヤトは反攻しようとして、でもやめた。
ア「さっき言ったろ?
戦士は剣を振り回して強くなるんだ。宿屋で寝てれば勝手に強くなるってわけじゃない。
仲間の誰かが倒してくれたら、自動的に経験値が増えるわけじゃない。
ロープレの中の《けいけんち》っていうのは、比喩にすぎないさ」
やがて4人は、ノビスの里へと舞い戻ってきた。
みんなヘトヘトだった。こんなにヘトヘトになったのは、生まれて初めてだ。
しかし、まだ一件は落着しない。
宿屋の主人は困惑している。
宿「昨夜のぶんのお金はしっかり頂けたけどねぇ、今夜のぶんが、足りないよ。
惜しいなぁ、3ゴールドだけ足りない。
かといって、さすがに2日も続けて後払いってのは、承諾しかねるなぁ」
な・ゆ・ハ「がーん!!!」
な「どうしよう・・・」もう一度森に戦いに出る体力は、一行にはもうなかった。
ハ「ケチ言うなよー!」
宿「ケチじゃないでしょう。昨日すでに、情けをかけてやったんだよ」
ゆ「そうだわ!
明日の朝ごはんは無くていいから、だから1ゴールドずつマケてくれない?」
宿「うーーん?
・・・しょうがないなぁ」
どうにか一行は、今夜の寝食にもあり着くことが出来た。
翌朝。
アミンは今朝も姿が無かった。瞑想をしに行ったようだった。
ハ「あー!痛ってぇ!!」ハヤトは両腕をさすりながら嘆いた。3人とも全身が痛かったが、イバラをなぎ払って歩き続けたハヤトの両腕は、特に筋肉痛が深かった。
ゆ「でもそれが、鍛えられたってことなんじゃないの?」ゆなはハヤトを励ますように、背中をバンと叩いた。
な「お腹すいたなぁ。どうする?」
ゆ「朝ごはん、森に木の実でも探しに行きましょう?」
な「アミンなしで?」
ハ「オレらだけでも犬くらいは倒せるだろ」
ゆ「・・・と私も読んでるんだけど」
3人は里を出て、食べられそうなものを探して歩いた。