エピソード1 『天空の城』
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- 2024年7月21日
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更新日:6月10日
第1章 幸福な村から
エピソード1

「世の中には、どんな本にも書かれていない物事もある。
ではそれを知るにはどうしたらいい?
広い世界に旅立って、自分の目で見るしかない。
もしくは・・・
天啓を賜(たまわ)る尊い器になるしかない。
女神がそなたにそっとささやく。誰も知らぬこの世のヒミツがある」
れ「お婆ちゃん、またその話ぃ~?」
れいは最近、ちょっと心配でちょっとヘキエキだ。祖母のローズがどうも、同じ話ばかりするからだ。
「呆けはじめてしまったのだろうか?」と心配になるし、同じ話ばかりされて鬱陶しくもある。
そして、れいが新しい本を借りてきて読み始めるようなときにばかりこれを言うので、なんだか趣味を邪魔されているような気持ちにもなるのだ。
ロ「本を読むのは良いことじゃよ。でもそれで終わりじゃない。
本を読むことは冒険の始まりじゃ。本を読むことは、『旅に出たい!』と好奇心を抱く、その引き金にすぎない。
勇者は皆、旅人じゃった。賢者も皆、旅人じゃった。
なぜかわかるか?お家に居たってつまらなかったからじゃ。
恐れるなかれ。恐れるなら鍛えよ。鍛えるのは、倒すためではない。恐れないためにある」
むむ?なんか話が新しくなってきた。
まるでフラグを立て終えたあとの村人のようだ。
それは、れいが丁度、図書館の児童文学を50冊読み終えたときだった。まぁれい自身はそんな節目に気づいてはいないが。
れ「お婆ちゃん。旅立ちたいのはれいだってヤマヤマだよ。
でもれいには無理だもん。
勇者の息子は旅立つんだよ。でもれいはそうじゃないじゃない。
お婆ちゃんはお裁縫ばっかりしてるし、お母さんは学校の先生でしょう。れいは2人の教えをちゃーんと真似てきたつもりよ。偉い子でしょ?
おとぎの国に迷い込む本を読んでワクワクしたら、そしたらちゃんと学校に行くの。
魔王を退治しに行く選ばれし者は、勇者の息子の役目よ」
ロ「『選ばれし者』とは何か?
それは戦士でもなければ賢者のことでもない。
『旅立ちたい』と強く願う者のことじゃよ。
旅の困難に歯を食いしばる者だけが、道を切り拓いていける・・・」
れ「どのみちれいじゃないわ。
旅の困難に歯を食いしばれる自信なんてないもの」
婆「やってもいないのにわかるのか?ほっほっほ」
れ「わかるわよ。
村のタツヤは逆のこと言われてたわ。
『旅立ちたい!僕ならどんな困難にだって耐えられるよ!』って言ったら、『やってもいないのに何がわかる』って、大人たちに止められてたわ」
ロ「れいとタツヤは違う。
れいのほうが忍耐強い子だよ。婆ちゃんそれよく知っとる。
・・・まぁえぇ。
覚えておきなさい?
誰かが急に旅立ったとき、それは、覚悟が出来たってことなのよ。ほっほっほ」

れい
15歳 1月21日生まれ
身長155cm 45kgくらい
Cカップくらい
趣味 読書
特技 空想