エピソード20
男は、持っていた杖で地面に魔法陣を描き出した。
男「この真ん中に座りなさい」
ゆ「は、はい」
男はゆなの背後に回った。
ハ「だ、大丈夫なのか?」
な「なんかあったらこのコテでぱんちしますよ!」
男「フフ。大丈夫だ」
ゆなが魔法陣の上にあぐらをかくと、男は背後から何やら儀式めいた奇妙な動作をした!
男「△§ΦБζщΖ・・・」
何やらぶつぶつと唱えている・・・
男「はっ!!」
男が喝を入れると、魔法陣が青白く光り輝いた!
ゆ「え・・・?え・・・?」
男「成功した」
ゆ「ホント!?」
男「手をかざして、火球をイメージして念じてみよ」
ゆ「むむ~~~~ん・・・《メラ》!」
ボボン!なんとゆなは、《メラ》を放つことが出来るようになった!!
な「すごぉーい!」
ハ「マジかよ!」
ゆ「すごい・・・!ありがとうございます!」
男「礼には及ばん。ではさらばだ。気を付けて帰りなさい」
そう言うと、男はふっと姿を消してしまった。
3人はさらに歩いた。
ハ「待てよ?ゆなが《メラ》を使えるということは・・・
肉を焼いて食えるってことじゃねぇか!?」
ゆ「そんなの探検中にやることじゃないでしょ!」
ハ「いいじゃねぇか!食い物求めて探検してんだ今は」
な「でもこんなとこでバーベキューしたら危ないよ?」
ゆ「そうよ!」
ハ「おまえらだって筋肉痛バキバキで肉食いてぇんだろ!」
ハヤトはそういうと、回りをキョロキョロ見渡した。
木の上にリスを見つけると、そろそろと近づき・・・細身の剣を勢いよく突き刺した!
リスはその一撃でおとなしくなってしまった。
ハ「ほれ、焚き火を熾(おこ)せよ」
な「えー!食べたくないぃ(泣)」
ゆなは渋々、ハヤトのだだに従った。3人はその辺にスペースを作った。火が燃え移らないように、燃えやすいものをその一角から取り払い、薪木をくべ、火を熾した。
ハ「おぉ、意外と美味いぞ!
覚えておけ?リスも食料になる」
ハヤトは本当に、リスを焼いて食べてしまった。
3人は入念に火の後始末をして、そして里に戻ることにした。
時々魔物と戦いながら、少しずつ里は近づいていった。
そのとき・・・
な「あれ・・・?
なんか後ろが赤いよ??」
もと来た方角を振り返ると、なんだか視界の先がうっすらと赤く黄色く光っている・・・?
ハ「なんだあれ?」
ゆ「煙が上がっている・・・
まさか!!??」
3人は青ざめた!そのまさかだった!焚き火のくすぶりが草に引火し、小火(ぼや)を起こしてしまったのだ!
小火ではない・・・!
山火事だ!!!
3人は懸命に走って戻った!しかし先ほどの場所に戻る前に、火のほうが3人を迎えに出ていた!つまり、火は豪快に広がっていた!
ゆ「どうしよう・・・!!!」
ハ「どうすんだよコレ!!」
な「うわぁーーん」
ゆなは上着を脱いでバサバサとやったが、そんなことで火が怯むはずもなく。
3人は慌てふためき、意味もないことを足掻いたが、やはり意味は無いのだった。
な「アミンーーー!!!」
ななは泣きながらアミンに助けを呼んだが、アミンがすぐに駆け付けたりはしない。
3人は少しずつ後ずさりながら、絶望的に燃えさかる火を茫然と見ていた・・・
その時!