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エピソード22『世界樹 -妖精さんを仲間にするには?-』

エピソード22


族長は去った。

アミンはしばらく、複雑な感情の渦にさいなまれながら、うつむきながら茫然としていたが、やがて目に生気を取り戻した。

ア「で、一体何があったんだい?どうして山火事が?」

ハ「朝飯を探しに行ったんだ」

な「そしたら、天使様みたいな人に《メラ》の魔法を教わったの!」

ア「え!?何を言ってるんだ!?」

ゆ「森の奥で、不思議な人に出会ったの。

 聖書に出てくる大天使様みたいな姿をしていたわ」

ア「大天使だって?」

な「それでね、魔法の儀式を授けよう!って」

ゆ「私に何か、イニシエーションとかなんとかいうのを授けてくれたの。

 そしたら本当に、《メラ》が使えるようになっちゃったの!」

ハ「大天使って、ドワーフの仲間じゃないのか?」

ア「大天使・・・?」

アミンはいぶかしげている。


ハ「なんだよ」

ア「それで?

 《メラ》の次には何の魔法を授けてくれた?」

ゆ「え?《メラ》だけよ?」

ア「それは大天使なんかじゃない!

 何かわからないけど、とにかく悪いやつだ!!」

な・ゆ・ハ「えぇー!!??」

な「大きな翼の、立派な人だったよ!?」

ア「妖精だって悪魔だって、どんな姿にも化けられるんだよ。

 そして、大天使の姿に化けて人を誘惑するのは、悪魔の常套手段・・・」

ハ「でも妖精だって天使だって大天使の姿に化けられるんだろ?」

ア「姿だけでは何の証拠にもならない。その通りだ。

 でも天使なんかじゃない確証がある」

ゆ「どういうこと?」

ア「魔法を授けるとき、それが対極の属性を持つ魔法なら、必ずペアで授けるんだ」

な「え???」

ア「《メラ》は火の魔法だろ?それが小火(ぼや)を起こしちゃったらどうする?」

ゆ「水で鎮火しなくちゃ」

ア「そう。だから《メラ》を授けるときは、それが破壊の悲運を招かないために、必ず《ヒャド》の氷の魔法も授けるんだ。それが光の者のやり方だよ。

 魔法が、破滅を起こさないように細心の注意を払う。

 《メラ》しか教えなかったということは・・・」

ゆ「トラブルを起こすことを見越していた・・・!?」

ア「そういうことさ。《メラ》を覚えたヤツが小火(ぼや)を起こしたり友達をヤケドさせるのはもう、お約束なんだ。

 だから師は、魔法を授けるだけじゃなくてその使い方も、危険も、耳がタコになるほどしっかり教える。それでも小火を起こすから、しばらくは一緒にいて監視する。これは、《メラ》を教えるときや初めて魔法を教えるときは、なおさらさ」

な「その人、すぐに消えちゃったよ」

ア「だろ?

 おまえたちが勝手に小火を起こし、それが山火事にまで発展するのを狙ってたんだ。

 または、おまえたちはちゃんと火の始末をしたけど、ヤツは森に火を放ったんだ!」

ハ「なんてこった・・・!!

 オレら悪者に狙われてんのか?魔王に!?帰ろうぜもう!」

ゆ「か、帰り道は・・・」

ア「もう、ないよ。

 巨大な悪に狙われてるのか、小さな悪魔のいたずらなのか、それは定かじゃない」

ゆ「あんた、闇の支配者をやっつけるとか言ってたじゃない!」

ハ「お、おい!オレのせいなのかよ!」


ア「もう行こう。この里の人たちの心証はもう良くないはずだ。

 本当は今日も戦闘訓練に費やそうかなと思ってたんだけど、そんな悠長なことは言ってられそうもないや」

な「どこに行くの?」

ア「とりあえず森を抜けるために、北を目指して。

 その間に里かなんかあれば立ち寄っていきたいね」


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