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エピソード29『世界樹 -妖精さんを仲間にするには?-』

エピソード29

アミンは残りの2人を起こした。

4人は屋上のガーデンテーブルに腰を下ろし、珍しい来客を説明した。

ハ「へぇ、エルフか。ドワーフよりずっとかわいいぜ。

 冒険はこうでなくっちゃな!

 でも・・・オレの武器を隠したのも、おまえだな?」

エ「そうです。ごめんなさい・・・」

な「あっ!昨日わたしに話しかけた??」

エ「そうですそうです!」

ゆ「妖精なら、同じ妖精のアミンに話しかければよかったじゃない?」

エ「そうなんですけど、ど、ドワーフさんはちょっと・・・」

ハ「ちょっと?」

エ「ドワーフさんはちょっと、く、くさいもので・・・(汗)」エルフは両手の指をちょんちょんと合わせて、気まずそうな仕草をした。

4人「えーー(汗)」

ア「ちょっと傷つくなぁ(泣)」

ハ「おまえ臭いのか?別にそう感じたこともなかったぞ?」

ゆ「アンタもちょっと臭いから・・・」

ハヤトはゆなの頭をひっぱたいた!

ア「でも、聞いたことがある。

 ドワーフという種族は、他の妖精からすると『臭い』と感じるらしい。そこから『汚い』『気持ち悪い』と敬遠されることがある・・・。だからドワーフは、森の奥とか地底とか、他の妖精からも遠い場所で暮らすことが多い・・・」

エ「はい・・・。

 別にドワーフさんが嫌いなわけじゃないんです。苦手というか、なんというか(汗)」


な「妖精さん。お名前は?わたしはなな♪」

ななは空気を変えようと努めた。

エ「わたしは、リラといいます。エルフという種族の妖精です」

リラは人間のレディのように、スカートの裾を広げて可愛く挨拶をした。

ゆ「それで、なんでイタズラなんてしたの?」

リ「あぁ、かわいい戦士さん方!

 どうかわたしたちにチカラを貸してくれませんか?」

4人「えーー!!??」世界一へっぽこな冒険者パーティーなのに!?

な「むしろわたしたちにチカラを貸してくれませんか(笑)」

リ「えーー!!??」

ゆ「私たち、どうにかこうにか崑崙(こんろん)の山を抜けてきたけど、ぜんぜん弱い冒険者なの(汗)」

リ「やはり、そうなのですか・・・」リラは困惑している。

ア「この町にはもっと強そうな荒くれが大勢いるようだけど。

 そいつらに頼んだら?」

リ「いいえ、わたしたち・・・

 ドワーフも苦手ですが、男の人が苦手なんです」

ゆ「なるほど」皆まで言うな、とゆなやななは思う。

リ「それに、あなた方からたしかに、大きなオーラを感知したはずなのですが・・・」

な「オーラ??」

リ「えぇ。素晴らしい、新時代的な人たちであるはずです」

ハ「おまえのスカウター、壊れてんじゃねぇのか」

ハヤトはどこぞのバトル漫画の戦闘力測定器を思い出し、眼鏡をクイっといじるような仕草をした。


リ「とにかく一度、わたしたちの妖精の村へと来てはいただけませんか?

 ポワン様があなた方をお待ちです」

ハ「それって、カルベローナとかいう北の国にあるのか?」

リ「いいえ、西に反れたところです」

ハ「じゃぁ道草だ!

 はやくカルベローナに行って武器を探そうぜ!」

リ「そ、そうですか・・・。お急ぎの旅なのですね」

ゆ「ちょっと待って!

 リラたちのお困りごとって何なの?一大事なんじゃないの?」

リ「一大事とも言えますし、一大事でないとも言えます」

な「うん???」

ア「話してくれよ。てっとり早く」

リ「は、はい。

 実は最近、南の森が大きな火事に遭ったんです。

 わたしたちの自然が大きく破壊されてしまいました」

ゆ「!!!!そ、それ・・・」

ゆなはまた大きな罪悪感に胸がかき乱された。

ゆ「それ、一大事じゃない!

 それに、ごめんなさい!

 その火事の原因って私たちなんです!!ごめんなさい!!」

リ「まぁ!そうだったのですか!?

 でもお急ぎの旅なのでしょう?

 一大事ですが、一大事とも言い切れないのです」

ゆ「どうして!?」

リ「森はやがて、もとに戻ります。

 エルフは何百年も生きますから、数十年を待つことは普通と言えば普通なのです。

 地球の生態系にそう大きな影響を及ぼすわけでもないでしょう」

な「ていうか、エルフさんは森に住んでないのに、森のお直しをするの?」

ア「ぼ、僕たちドワーフのために!?」

ゆ「ドワーフが嫌いだっていうのに?」

リ「ドワーフのためにといいますか、みんなのためにです。

 ドワーフたちのためもであります。

 苦手かどうかは関係ありません。相互協力で生きる仲間ですし」

リラたちはどうも、人間とはやや異なる思考で生きているようだ。

ゆ「博愛、か・・・!」


ア「話はなんとなくわかってきたけど・・・」アミンは両手を頭の後ろで組んだ。

ゆ「お願いみんな!道草をさせて!

 リラたちの森直しのお手伝いをしましょう!!」

は「マジかよー!武器探しはぁ?」

ア「どうせ遠回りしながらお金を貯める必要があるだろ!」

ゆ「いいよ!私一人でもリラに着いていくから!」

リ「ゆ、ゆなさん・・・!!!」

な「わたしはゆなに着いていくぅ」

ハ「わかってるよ!ちょっとグチっただけだっつの」ハヤトは四面楚歌になりそうなのを察知して、堪忍した。

リ「お礼は出来るとは思います。

 1万ゴールド程度の品ならお返しが出来るかと」

ハ「マジか!《はじゃのつるぎ》が3本買えるぞ!!」

ア「よし、決定だな」

リ「ありがとうございます!!」

妖精のリラは、小さな小さな体で大きく大きく安堵した。背中の羽根も、嬉しそうに虹色に輝いた。


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