エピソード32『世界樹 -妖精さんを仲間にするには?-』
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- 2024年5月1日
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エピソード32
ゆなは一人、早々にお腹を満たすと、約束どおりポワンの元に戻った。
ゆ「ポワン様。お待たせいたしました」
ポ「あぁ、愛しいゆなさん。
私はあなたを守って差し上げたい」
ゆ「え、なんです急に?」
ポ「急にではありません。あなたの言動を拝見して、込み上げた思いです。
さて、魔法はご存じでしょう?魔法の素質はお持ちでしょう?」
ゆ「はい。少しはあるらしいです」ゆなは謙遜ぎみに微笑んだ。
ポ「あなたに一つ、魔法を授けましょう」
ゆ「えぇ!本当ですか!?」
ポ「ご存じかしら?《ホイミ》という、回復の魔法です」
ゆ「聞いたことがある!これで《やくそう》が要らなくなる?」
ポ「そうですね。要らなくなるということもありませんが、《やくそう》の役割を果たします」
ポワンはそう言うと、杖で地面に魔法陣を描いた。
ゆなはその上にあぐらをかく。
ポ「△§ΦБζщΖ・・・」
ゆなの体を不思議なエネルギーが駆けあがっていく!
ポ「フルルルルットゥットゥッ♪」
ポワンは「はー!」ではなく、小粋なハミングで儀式を締めた。
魔法陣が青白く光り輝いた!
ポ「成功したようですよ」
ゆ「うわぁー・・・」とゆなが感激しようとしたその瞬間、なぜか向こうの宴席でも青白い光が立ち上った!
な「うひゃぁーー!!」
サンドイッチをかじりながら、なながイスからぶっ倒れている!
ゆ「えぇー!?」
ポ「ふふふ。あなたのお友達にも《ホイミ》を伝授しておきました。
おしつけがましくてごめんなさい」
ゆ「え?え?」ゆなは自分の足元の魔法陣とななのテーブルを交互に見やった。
ななの足元に魔法陣などないように見える。
ポ「ふふふ。魔法陣などポーズにすぎないのです。厳密に言えば、魔法陣も喝も必要ありません」
ゆ「ありがとうございます!」
ポ「いいえ。造作もないことです」
ゆ「あ、魔法と言えば!
あのぅ、《ヒャド》の呪文の伝授ができるお知り合い、いませんか?
私、かくかくしかじかで《メラ》の儀式だけ受けてしまったんです。
《ヒャド》も早めに会得したほうがいいって聞いたもんで・・・」
ポ「《ヒャド》?その程度ならわたしでも可能ですが」
涼しい顔でそういうと、ポワンはしなやかに右手を掲げた。
ポ「ルルルリルルル~♪」
ゆなの足元に魔法陣などないのに、ゆなの体が青白い光で包まれた!
ポ「はい、済みました」
ゆ「えぇー!
ポワン様、ちょっとサバサバとやりすぎじゃないですか!?」
ポ「ほほほ。普段はもっとちゃんとやりますよ。
あなたにはね、キザなモーションなど必要ないだろうと、そう思ったのです。
ロイヤルブルーのオーラの強い人ですから」
ゆ「???」ゆなには皆目意味がわからなかった。
ポ「さぁ、お行きなさい。
『お行きなさい』と言うのもナンですが、準備は済みましたよ」ポワンは親愛に満ちた笑顔を、里長の威厳で懸命に隠しながら、ゆなに言った。
ゆ「はい、行ってきます!どうもありがとう!」
ゆなは3人と合流した。いいやもう1人、リラは小さな妖精の姿でお共した。
ゆ「ポワン様ってきっとすごい人よ!器のとっても大きい人。
エルフの中で一番すごい人なんじゃないかって思うわ!
それよりも上の立場の人がいるなんて・・・エルフの女王様って一体どんなすごい人なのかしら!?」
ゆなはななの身に起きた不思議な現象の意味を説明してやった。
《ホイミ》と、そして《ヒャド》まで会得したことを報告し、ポワンがとてもステキな人であることを何よりも熱く語るのだった。