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エピソード43 『天空の城』

  • 執筆者の写真: ・
  • 2024年7月22日
  • 読了時間: 2分

エピソード43


食事を終えると宿を確保した。

れいは、せっかくなのでブティックを覗きたい、と言ったが、デイジーは「興味がないから別行動をしよう」と言って宿のベッドで昼寝をはじめた。

町の中なら大きな危険もないだろう。れいは一人で町をぶらつくことにした。

ウインドーショッピングをしていると、町娘たちの話声が聞こえる。

娘「ねぇ知ってる?あのお城にいるのは吸血鬼じゃなくて、ハンサムな王子様って話よ?」

娘「えぇ?吸血鬼がハンサムってことなんじゃないの?」

娘「どちらにせよ会ってみたいじゃない」

娘「そうね。一目見るだけなら危なくないかも」

娘「そのまま玉の輿に乗りたいわぁ」

会話のテンションというのは、人によってこれほども違うのか。れいはこうした女性とあまり接したことがなかった。そして、デイジーがこの町を嫌だと言った理由が少しわかる気がした。



れいは教会に赴いた。他の町よりも美しい外観をしていたので、覗いてみたいと興味が湧いた。

なかなかに広い。内装も丁寧に装飾されている。前方の祭壇にはメシアの像が祀られていた。

れいは神父に冒険の報告をした。

そしてついでに尋ねてみた。

れ「丘の城の主は誰なのですか?」

神「昔この町の発展に寄与した騎士の、ご子息です。

 騎士様のほうは、この町の年配者なら見たことある人も多いですが、ご子息のほうはよく知りませんなぁ」

れ「吸血鬼が出るというのは本当ですか?」

神「そういう噂がありますよ。行方不明なままの女性もいます。

 え?倒しに行かないのかって?なにぶん私は戦闘の苦手な僧侶でして・・・。

 しかし吸血鬼がルマの町まで出没した報告はありません。無暗に赴かなければ平和に済みますよ」

大人しくそうしていられないのが、この町の女性たち、なのか・・・。

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