エピソード44
城は東にあるらしい。一行は東に進路を定めた。
2~3日で着く旅ではない、という噂を聞いたが、馬車を手にした今、1日の感覚は以前よりも苦ではないのであった。また、オラクルベリーでは1か月も滞在をした4人だ。すでに旅の2~3日など矢のごとし、といった感覚があった。
馬車の旅は快適だ。歩かなくても何十里も進めるのだ。
しかしそれでは運動不足になる!と一行は気づいた。戦闘を伴う冒険である。運動不足に陥るのは困る。
するとキキはユニークな提案をするのだった。
キ「ねぇなな?あなたの国のアイドルの『恋するおみくじクッキー』ていう歌の振り付け、あなた知ってたりしないの?」
な「うん?踊れるよぉー♪」
キ「じゃぁわたしにも教えてよぉ♪一緒に踊ろ!」
そしてななとキキは、楽しくダンスを踊りながら運動不足を解消するのだった。
ゆなはダンスなど踊りたくないが、時には囃し立てられ、仲間に加えられてしまう。
馬車道を選んで進んでいけば、魔物と出くわすことはほとんどないのだった。道が無ければ、平原を行けばよい。
順調なまま城が見えてきたそのとき、一行は不意に、魔物の襲撃に遭った!
ンギャー!!
なんと、二足歩行のドラゴンがオノを振り回して襲い掛かってくる!
バトルレックスがあらわれた!!
ア「な、なんでこんなところにドラゴンが!?」
な「つよそうだよ!逃げようよ!!」
キ「女王様のお困りごとの張本人かもしれないわ!
ついでに倒していっちゃいましょうよ♪」
ゆ「そんな明るく言えること!?」
ンギャー!!
バトルレックスはオノを大きくふりかざした!
4人はオノの間合いから外れるべく、大きく後ろに距離をとった。
しかし、バトルレックスは燃えさかる火炎を吐き出した!!
4人「どわー!!」
なな、ゆな、アミンは寸でのところで炎をかわす!
キキは余裕しゃくしゃくの笑みで軽やかに炎をかわすと、自らバトルレックスの間合いに入っていった!
ゆ「あ、危ない!」
な「すごい魔法を撃つのかも!?」となながワクワクしたそのとき!
キキはなんと、《春風のフルート》を取り出した!
トゥール―ルールールットゥットゥー♪
なんと、バトルレックスは眠ってしまった!
キ「エルフの子守歌よ♪
みんな、あとはヨロシク♡」
ア「《ラリホー》と同じ効果か!」
な「ぐー、ぐー、ぐー・・・」
なんと、ななも一緒に眠っている!
ゆ「アンタは起きなさいよ!!」
アミンとゆなは全力でこうげきをした!
バトルレックスをやっつけた!
な「ほえー、そのフルートって森を癒すだけじゃなかったんだぁ」
キ「そりゃそうよ♪
音楽には色んなチカラがあるわ。それを魔法で増幅してあげれば、色んな魔法の代わりになるの」
一行は、そばの大きな木に、気絶したバトルレックスを縄で縛り付けておいた。
キ「そのうちお城の誰かが見つけてしょっぴくでしょ。
やっつけた、という証拠を見せてあげないと、女王様だか国民だかは安心できないものね」
―ブランカ―
無事にお城へと到着した。
立派なお堀とはね橋を持つ、強固なお城だ。しかし扉は開け放たれている。
扉の近くには立札があった「ここはブランカの城下町!」
城下町は大きく、人々で賑わっている。
街の様子を楽しみながら、一行は城のほうへと歩いた、そして道行く兵士に話しかける。
ア「なんでもお城の女王様が困っているって聞いたけど?
助けてあげたいと思って来たんだ。旅の者だよ」
兵「おぉ!それは感心だ!
このまま行けば城がある。『志願兵だ』と名乗れば、兵士たちはそなたを通すだろう」
ゆ「やっぱり魔物か何かに困っているのね」
兵士の言うとおり、「志願兵だ」と名乗れば余所者でもすんなり通してくれるのだった。「そなたらは強いのか?」といぶかしげる者も多かったが。
キキはその都度、手のひらの上に大きな火球を出し、「どこにぶつければいい?」と笑った。
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