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エピソード50『世界樹 -妖精さんを仲間にするには?-』

エピソード50


集落のはずれに、ライアンの家はあった。小さな粗末な家だ。

彼は本当に、粗末な茶だけで一行をもてなした。

あ「あったかーい♪」ななは感謝の気持ちを込めて、褒め言葉を探した。

ゆ「どうして関所の兵士さんは、旅人すら越境させてくれないの?」

ラ「知らないのか?両国の歴史を」

ベ「申し訳ない。何も知らなかった」

ラ「カルベローナとギュイオンヌは、信じる宗教がまったく異なる国だ」

ア「それぞれの信仰を、尊重すればいいんじゃないのか?」

ラ「カルベローナはわりとそういう考えをする国だがね。ギュイオンヌは違った。

 国境周辺には、どちらの民族ともつかぬ者たちが暮らしていたりする。国境線を引くのは、庶民じゃなくて政治家だからな」

ア「それで?」

ラ「ギュイオンヌ側の僻地に住む者の中には、カルベローナの文化に近い者も多かった。

 宗教統制が強まったとき、そいつらは自分たちの文化や宗教を守りたがった。 

 だが、ギュイオンヌの役人は、僻地の者たちの暮らしや信仰を厳しく統制しようとした。

ゆ「改宗せよ、と?」

ラ「そうだ。

 そしてカルベローナ側に移り住みたがる者が増えたので、役人はここらに大きな壁を作った。

 人口は国力を示す1つのバロメータ。ならず者だろうが数をかき集めておきたいんだろう」

な「あっちの国とこっちの国は仲が悪いから、入れてもらえないのね?」



はぁぁ。ベロニカは胸から大きく溜息をついた。

ベ「国境を越える手だては、ないのか・・・」

ラ「ないことも、ない」

4人「本当に!?」

ラ「あぁ。

 このあたりに、向こうとこっちをつなぐ大きな地下トンネルがある、という噂がある」

ア「地下トンネル!?」

ラ「あぁ。半里(約2km)にも及ぶ地下トンネルがな。

 昔、ギュイオンヌの厳しい統制から逃れたがった者たちが、必死の思いで掘ったらしい」

ベ「半里の地下トンネルなんて・・・!そんなの無理だろう」

ラ「でたらめにすぎない、と笑う者も多い。

 だが、それはタブン本当にある。

 なにしろ、オレは祖父さんから直接、脱走の話を聞かされてきたからな」

4人「・・・!!」

ラ「オレは、ギュイオンヌから逃れてきた者の子孫だ。

 ・・・別に自分のアイデンティティについてこだわりもないがな」

な「どっちの国の人なの?」

ラ「どっちの国でもないんだ」

な「そういう人もいるんだぁ」ななは不思議な感覚がした。


ラ「トンネルはある。多分な。

 しかしトンネルの入口は、厳重に土砂か何かで塞がれている。

 脱走に使われたのはもう100年も前の話だ。そして追っ手がないように封じられた。

 ・・・まだ課題は山積みだ。

 トンネルの入口はどこにある?この集落から近いだろうが、それでも途方もない。

 そして、入口をどうやってこじ開ける?ここまで穴掘りに来る炭鉱夫など居やしないだろう」

4人「・・・・・・。」

ベ「はぁ・・・」ベロニカは溜息をついた。

ア「どうにかなる、かもしれない」

ベ「なに!?」

ア「ドワーフは地下に暮らす名手だからね」

ベ「僕と君は、まったく違う世界を見ているように見える・・・!」

ベロニカは、自分とアミンの視野の広さの違いに畏怖の念を感じた。

ア「ちょっとやってみよう!」


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